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投稿:2018年03月13日更新:2021年05月11日

多職種連携・地域連携

270. 認知症者 連携して早期発見へ・「認知症多職種協働研修会」で議論

認知症に関わる医療、介護、行政の関係者が連携を深める「認知症多職種協働研修会」がこのほど、いわき市の県認知症疾患医療センターで開かれました。一人暮らしのお年寄りの事例を基に、「認知症に早く気付くには」「退院後の支援法」をグループで議論。認知症の疑いのある人を見つけたらすぐに連絡し合う大切さや情報共有面での課題を確認し、認知症者を連携して早期発見する意識を高めました。

● 出席者81人 同じ地区ごとに分かれて議論
認知症者や家族の支援体制を構築する上で関係者の「顔の見えるネットワークづくり」は欠かせないと、市地域包括ケア推進課と認知症疾患医療センターが3月3日に主催しました。出席者は、薬剤師、リハビリ専門職、介護支援専門員(ケアマネジャー)、介護施設職員、市職員、地域包括支援センター職員ら計81人。実際の業務でも顔合わせする可能性の高い同じエリアのメンバー同士で話し合える工夫をし、平、小名浜、勿来・田人、常磐・遠野、内郷・好間・三和、四倉・久之浜大久の計6地区ごとに計13グループを編成しました。コーディネーターは、県認知症疾患医療センターの田子久夫センター長と医療ソーシャルワーカーの鈴木惠理子さんが務めました。

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● 認知症初期の症状から退院直前まで 早期発見へ何ができる?
事例は妄想の症状が出た一人暮らしの仮想の男性(73)を取り上げ、認知症初期の徴候が出た段階から入院、退院直前までの4年間を時系列で追い、出席者は「早期発見、治療のためにそれぞれの職種で何ができたか」「今後男性が安心して地域で生活するために、連携してどんなサービスが提供できるか」をテーマに議論しました。出席者は男性の概要のほか、「嫌がらせをされる」と俳句の会を退会、近所を避ける行動、「近所の人が何かを腕に埋め込んだ。電磁波攻撃を受けている」といった妄想の発言、徘かいと段々悪化する状態を年月ごとに確認し共有。あるグループは「心を開ける相手を探してあげたい」と孤立予防と信頼関係の構築の必要性を語り合います。薬剤師の多いグループは「薬局も若い人に認知症の啓発をしていかないといけない」と今後の早期発見策が出ました。

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● 早急な気付きと情報共有化が大切
発表では、「(実態把握で訪問する)包括支援センター職員が異変に気付いたら民生委員に連絡して地域で見守れないか」「薬局がおかしいと気づいたら医師に連絡する」「ヘルパーは相談機関に連絡」といった関係者同士の早急な情報共有化の必要性が多く挙がりました。「嫌がらせを受けて退会しただけでは認知症の徴候に気付けない。集いの場やオレンジカフェで認知症チェックシートを使ってはどうか」「相談窓口を明確化する」などのアイデアも。その一方、「忙しい薬剤師がどの段階で報告していいのかは現実的に悩む」「関係機関に連絡しても顛末のフィードバックがない。あったら報告した人も安心できる」といった課題もでました。

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● 地域包括支援センター職員 悩む前の通報呼び掛け
地域包括支援センターの職員は「薬局から気軽に相談がきている。個人情報の問題ですべてをフィードバックするのは難しいが、訪問に行ったという事実は通報してくれた人に伝えたい。悩む前に相談してほしい」と呼び掛けました。田子センター長は、精神症状が先に出て認知症が見えにくいケースが増えている点や、多職種で情報交換して認知症者を支える重要性、認知症は脳からではなく体や環境を治すのも効果的といったアドバイスをしました。