福島県内の聴覚障がい者が競う「県ろうあ者スポーツ大会」がこのほど、いわき市内の4会場で繰り広げられました。今回で55回目を数える伝統の大会は、選手にとって交流を深め合って練習の成果を発揮する大切な舞台です。「1年に1回のこの大会を楽しみにしている選手も多い」と大会関係者。会場では手話や身振りの「声なき声」が飛び交い、静かなる熱戦を繰り広げました。
● 選手約90人が5種目
5月13日に開催された今大会は、聴覚障がい者と手話サークルのメンバー約90人が出場。市内の21世紀の森、いわきサン・アビリティーズ体育館、関船体育館、ボウリング場「スポルト平」の4会場で、ゲートボール、ソフトバレー、バドミントン、ボウリング、グラウンドゴルフの計5種目が行われました。優勝者や活躍した選手は東北大会への出場権を獲得できます。
● 手話と身振り コースを指示してチームプレー
ゲートボールは21世紀の森グリーンベースで行われました。いわき、県南、会津から40~80代の21選手計4チームが総当たり戦で競いました。審判が「試合開始」をジェスチャーで伝えてスタート。選手は集中して狙い通りゲートにボールを通すと、胸をたたいて「ホッ」とする身振りをします。打ち手の反対側に立つチームメートは、大きく動かす手話と身振りで狙うコースを指示して援護。ミスショットをした選手は太ももをたたいて悔しがります。審判の声とボールを打つカツンという打撃音が響く中で飛び交う「声なき声」。手話サークルのメンバーから手を振っての応援を背に受け、一打一打に集中していました。試合終了後は対戦相手と握手をして笑顔で健闘をたたえ合いました。
● スポーツ通して仲間づくりも
主催する県聴覚障害者協会の西山秀幸、矢内洋一の両副会長は「出場者は日ごろから健常者と練習を積んでこの大会に臨んでる」と話します。スポーツを通して仲間ができ、生きがいにつながっている選手もいるといいます。福島県は近年ボウリングで全国優勝したり、今はバドミントンのレベルが高いといいます。多い年は選手200人が出場していたといいますが、近年は高齢化の影響で年々減少。今後もスポーツの良さをろう学校などでアピールして、出場者を増やしたいと考えています。西山副会長は「健常者と同じくらいのレベルを持つ選手もいる。障がいは関係ないとプレーで広く伝えたい」と笑顔で話していました。
【結果は以下の通り(敬称略)】
<団体の部>
ゲートボール ①いわき②会津③県南B 最優秀選手:永山加年史(いわき)敢闘賞:澤田新夫(会津)
ソフトバレー ①ガメラ(県北)②ラビット福島(同)③おんぷ軍団(県南) 最優秀選手:佐藤秋之(県北ガメラ)敢闘賞:小泉美裕(県北Bラビット福島)ファインプレー賞:野地初弘(県北二本松)
<個人の部>
ボウリング ①國分金寿(県北)②國分基子(同)③菊地武志(同) HG賞:國分金寿(県北)HS賞:國分金寿(県北)
バドミントン1部 ①中村孔一(県南)②橋本繁輝(同)③藤澤佳孝(同)
バドミントン2部 ①蔭山英則(県北)②後藤貞夫(同)③熊谷孝子(同)
グラウンド・ゴルフ男子 ①山中進(県南B)②保科利男(県北)③熊谷和幸(県南B)
グラウンド・ゴルフ女子 ①山中優子(県南A)②杉山益子(いわき)③山崎幸江(県南A)
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