いわき市のNPO法人「わくわくネットいわき」がこのほど、同市平神谷地区で児童発達支援センターを開所しました。計画から約10年掛かりで誕生したこの施設の名は「わくわくキッズ」。障がい児が日常生活の基本動作などを身に着けられる市内2カ所目のセンターです。内覧会に出席した関係者は、子どもの安全を考えた優しい設計と職員の手作りもある施設内を見学し、込められた愛情に触れていました。
● いわき市で2カ所目
児童発達支援センターは、障がいを持つ子どもに日常生活の基本動作や集団生活の適応訓練を施します。障がい相談などを行う地域の中核的な支援機関となり、保育・幼稚園と連携しての園児のサポートや、保護者支援などにも取り組む施設です。国が人口10万人に対して1施設あるのが望ましいとする中、いわき市ではその数がまだ不十分。レスパイト事業所として17年前に誕生した「わくわくネットいわき」の新妻寿雄理事長は、障がい児が安心して通える施設を増やそうと約10年前から計画。2014(平成二十六)年度末に調査・検討をスタートし、今年4月に児童発達支援センターとしての認可を得て同月9日から運営が始まりました。いわき市では社会福祉法人いわき福音教会「エデンの家」に次いで2カ所目。
● 1日定員20人で現在54人登録
「わくわくキッズ」は2つの指導訓練室、遊戯室、屋外遊技場、相談室、シャワー室などを設けています。スタッフは管理者、児童発達支援員、保育士ら11人。1日の定員は20人で現在54人の登録があり、本年度中に約30人増が予測されています。療育では「いつ・どこで・何を・どれくらい・どうやって・いつ終わって・次は」を上手に考えられるように視覚的に指導し、コミュニケーション面では相手の気持ち・思いも理解できるようにコミック会話(見える会話)の手法も導入。通っている保育・幼稚園と連携して療育環境を整える支援なども行います。
● 「この素晴らしい建物に魂を込める」
5月12日に開かれた内覧会には、いわき市議会の西山一美議員や市障がい福祉課の長谷川政宣課長、市こども家庭課の武山忠弘課長、建設に携わった業者、地元民生委員ら関係者約20人が出席。あいさつで新妻理事長は、場所の確保や東日本大震災、自身の体調を崩すなど様々な困難に見舞われ諦めかけた時期もあったが、子どもたちの成長の姿や保護者の熱意、関係者の支えで頑張れた10年を振り返り「この素晴らしい建物に魂を込めて、保護者やスタッフと協力して取り組んでいきたい」と意気込み。長谷川課長らが祝辞を送り、テープカットを行って開所を祝いました。
● 職員手作りの仕切りやおもちゃも
参加者は2組に分かれ、職員の案内で内覧。指導訓練室ではプラスチック段ボールで仕切られた勉強室、おやつルーム、ミニカーやおもちゃのキーボードを備えた遊び部屋のほか、感情的になった時に心を静めるために入る特殊ライト付きの暗室「キラキラルーム」も見て回りました。仕切りを白に統一している理由を尋ねられた職員は、「カラフルにすると子どもが好きな色の場所にしか行かなくなる」と説明。相談室には保護者が子どもの自然な様子をのぞける遠隔モニターが設置され、参加者は「かなり鮮明ですね」と驚きました。遊戯室には天井からつるされた大きなパイプ型ブランコやボールプールも。施設内はドアにクッション材を取り付けるなど子どもに優しい細かい設計が施され、仕切り、「キラキラルーム」、おもちゃなどは職員による手作りで、参加者は施設への思い入れを感じていました。
● ただ預かるではなく、発達につながる施設をめざす
新妻理事長は障がい者は増えていると語り、この施設の担う大きな役割が期待されます。「ただ子どもを預かる施設ではなく、発達につなげてそれが見えるようにしたい」と新妻理事長。「地域住民と仲良くし、信頼される施設にしていきたい」と抱負を述べていました。
【児童発達支援センター「わくわくキッズ」】
住所:福島県いわき市平上神谷反町13-1
時間:午前9時から正午、午後1時から5時
運営日:月曜から金曜
対象者:基本的に未就学児。就学後の児童は要相談。
問い合わせ:0246-38-9406
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「障がい児通所施設の職員集まり懇談会」2019年2月8日投稿:https://iwakikai.jp/blog/650/
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