いわき市勿来地区の発達障がいを考える家族の会「スワンキッズくらぶ」の宗像広美代表がこのほど、同市内郷地区の美容院「ヘアー・クリエイティブ・ロダン」を訪れ、スタッフに発達障がいの理解を呼び掛けました。新しい環境だと落ち着かない傾向にある発達障がい児と周囲に迷惑を掛けたくないと悩む家族のために、安心して利用できる店舗や医療機関を増やそうと宗像代表が開いた初の事業所勉強会。話を聞いたスタッフは、家族の気持ちや、発達障がい児を安心して散髪するテクニックなどを学んだほか、「美容師仲間を集めて勉強会をする」と提案。支援の輪が広がりそうです。
● 習い事拒まれたり、すぐ迷子になったり…
発達障がいの特徴は、対人関係が苦手な自閉症スペクトラム、集中力に欠け落ち着きなく行動するADHD(注意欠陥・多動性障害)、学習障がいなどさまざま。慣れないお店や病院に行くと子どもは落ち着きなく動き回るので「周囲に迷惑が掛かるのでは」と悩む家族が多いといいます。指示を理解してもらえないと習い事に入るのを拒まれたり、外出してもすぐに迷子になるといった苦悩も。家庭内でも家族の理解が得られないケースや、母親だけで抱え込み周囲に相談できないケースもあるそうです。
● 「発達障がい」知らせる 缶バッジ、キーホルダーつくる
これらの問題を解決するには、社会が発達障がいに理解を持つことが大切です。そこで「スワンキッズくらぶ」は、発達障がい児や家族が暮らしやすくなる社会をつくろうとグッズを作成。障がいがあると外見で判別しにくい子どもに発達障がいのサインを示すスワンキッズマークの付いた缶バッジとキーホルダーをつくり、発達障がいを受け入れてもらえる事業所向けにはそのマーク入りのポストカードをデザインしました。宗像代表がこのグッズの配布とポストカードの設置事業所をSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で呼び掛けたところ、「ヘアー・クリエイティブ・ロダン」が手を挙げて訪問に結びつきました。
↑スワンキッズマーク入りのポストカード、缶バッジ、キーホルダー
● 好きな事に集中させる
宗像代表は4月25日、缶バッジ、キーホルダー、ポストカードを持参して「ロダン」を訪問。ロダン代表の鈴木明夫さんらスタッフ5人を前に、発達障がいの特徴や、社会に理解されない悩みなどを共有。「周囲からは『母親のしつけがなっていない』と思われるので、どこの理髪店や病院に連れて行っていいのか分からない」と訴えました。スタッフから「どう髪を切れば落ち着くか」との質問を受けた宗像代表は、親からその子の好きな事を確認してほしいと説明。読書が好きなら本を読ませると夢中になって落ち着くと話し、アメをなめさせ味覚に集中させたり、懐中電灯を持たせてスイッチをオン・オフさせたり、正面を向いてもらうために鏡にシールを貼るのも効果的と説明しました。「発達障がい児は何をされるか分からない時に恐怖を持ちパニックになる」とも話し、散髪の手順を分かりやすく伝える絵カードも配布しました。
↑散髪の手順を分かりやすく伝える絵カード。宗像代表のオリジナル
● 「美容師仲間を集めて勉強会やる」
スタッフは、発達障がい児や家族が社会で生活する苦悩や、発達障がいを抱えても記憶力や芸術などで飛び抜けた才能を持つ個性などに理解を示しました。「初めて詳しく聞いた」というスタッフも。鈴木代表らは「美容師仲間を集めて勉強会をやります」「父親向けの意見交換会も大事ではないか」など具体的な提案も出していました。
<発達障がい講習を受けてポストカードを設置してくれる事業所を募集>
「スワンキッズくらぶ」は発達障がい者や家族を快く受け入れてくださる店舗や病院を増やそうと、今後も市内の事業所を訪問したい考えです。当法人山内クリニックも発達障がい者を安心して受け入れられるよう検討していきます。
もしご協力してくださる事業所がございましたら、宗像代表(090-1499-3712)までお問い合わせください。
↓散髪の手順を分かりやすく伝える絵カードの原本。イラストは宗像代表
【スワンキッズくらぶ】
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