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投稿:2018年04月24日更新:2019年05月30日

299. 在宅胃ろうや栄養管理を考える・在宅医療のフォーラム

直接体外から胃に管を通し栄養を入れる「胃ろう(PEG)」や在宅医療をテーマにしたフォーラムがこのほど、いわき市のいわき芸術文化交流館「アリオス」で開かれました。北海道函館市の北美原クリニック理事長で医師の岡田晋吾さんが、数多くのケア事例も交えながら在宅胃ろうと栄養管理について特別講演。福島県内の言語聴覚士ら6人も一人一人、摂食嚥下などに関するケア事例を発表して共有しました。

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↑「みんなが楽する在宅胃瘻(ろう)・栄養管理」と題して特別講演した岡田さん

● 函館市の北美原クリニック理事長の岡田さんが特別講演
講演は14日に開催された「福島県PEGと経腸栄養と在宅医療フォーラム」。岡田さんは函館市で北美原クリニックを開業してから訪問診療に取り組み、地域連携にも積極的で関連の著書も出版しています。岡田さんは「みんなが楽する在宅胃瘻(ろう)・栄養管理」と題して特別講演しました。

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● 北海道・道南地域で多職種連携
岡田さんは「地域に信頼されるホームドクター」になろうと2004年に北美原クリニックを開業。医師1人、看護師3人、事務2人でスタートし、現在は医師3人、看護師17人ら計28人体制にまでなったと紹介しました。開業当初の話で、胃がんの女性(80)を在宅療養させたいという娘さんの想いに応えようと、函館市から北に100キロ超離れた長万部町まで通っていた岡田さん。移動時間がかかる一方1人しか診れない非効率さの改善策を模索したところ、「それまで一人も知らなかった」という訪問看護師を知り連携していきます。12年前には函館市など含む道南地域の医療、福祉関係者が連携する「道南在宅ケア研究会」(http://www.oshima-hp.or.jp/zaitaku/)が発足し、医療機関、訪問看護ステーション、居宅介護支援事業所、社会福祉施設などが役割分担をしながらチームで地域住民の在宅療養を支えているといいます。

● この患者は食べられると気づき、それをかなえるために
在宅医療の傾向として、岡田さんは「かかりつけ医の訪問診療が望まれる」という一方、在宅医療専門クリニックでない医師が行うには「病院や地域のスタッフの連携が不可欠」と指摘しました。胃ろうを造設した患者を在宅支援する問題点では「介護者が必要」「訪問看護師らスタッフによる注意深い観察」「問題点の早期発見と患者や介護者と一緒に解決策を見出す」「PEGカテーテルの種類や交換時期など必要な情報が得られないこともある」などを挙げました。PEG患者のケア事例では、ある患者に半固形の経腸栄養剤を使用した結果、家族の経済負担が軽減し、投与時間が大幅短縮してリハビリの時間に充てられた例や、ボタン型カテーテルやバルーン型チューブでのトラブル例などを紹介。がん患者の在宅栄養管理の事例なども多く取り上げ、「『この患者は食べられる』と気付き、それをかなえるため地域にいる専門職を見つけることが大切」というアドバイスも送りました。質疑応答で「地域のキーになるスタッフと連携する工夫は?」という質問に岡田さんは「専門外の集まりでも参加して、いろいろな人と知り合う。医師がヘルパーに声を掛けると驚かれたりし、(知り合う上で)医師の方が得」などと答えました。

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↑特別講演の座長を務めた福島学院大食物栄養学科講師の田村さん

● 言語聴覚士ら6人がケア事例を発表
一般演題では、国見町の公立藤田総合病院の言語聴覚士・佐藤志穂美さん、郡山市の総合南東北病院の言語聴覚士・森隆志さん、いわき市のかしま病院の言語聴覚療法科・板東竜矢さん、伊達市の北福島医療センターの言語聴覚士・鈴木園美さん、いわき市の福島労災病院の看護部・遠藤里奈さん、会津若松市の県立医科大学会津医療センターの栄養管理部・小林明子さんが、それぞれのケア事例を発表しました。共催は福島県PEGと経腸栄養と在宅医療フォーラム、(株)大塚製薬工場/イーエヌ大塚製薬(株)、福島県病院薬剤師会、いわき市薬剤師会。