職種を超え職員同士同じ気持ちで介護に取り組んでいこうと、当法人グループ・社会福祉法人「いわきの里」は「ケアガイドライン制作プロジェクト(ケアプロ)」を発足し、今月から本格的な取り組みが始まっています。第1弾は、ご利用者様のやりたい事をかなえさせるケアを実現させようと自宅での生活サイクルを聞き取り。このほど開かれた会議では聞き取りの結果を共有し、参加職員はご利用者様の意外な想いを多く確認できて驚き。「もっと要望を聞こうという意識が芽生えた」という声も。次回からは聞き取り意識をほかの職員にどう浸透させるかの改善策を話し合う一方、今回聞き取った「貼り絵をみんなで楽しみたい」というご利用者様の想いを来月5月には実現させる方針。ご利用者様をもっと笑顔にさせるため、職員有志は「声を出せば実現できる」と信じてプロジェクトに挑戦しています。
● 毎週金曜に話し合い
全職員が同じ方向性で介護支援に取り組めるガイドラインをつくろうと、「ケアプロ」が3月に発足。職種を超えて議論し連携を深める狙いも。村井弘施設長がプロジェクトオーナー、畠山勲理事がプロジェクトマネジャーとなって誕生しました。職員に参加を呼び掛けたところ、3月までに介護士、看護師、介護支援専門員(ケアマネジャー)ら有志11人が集まりました。初ミーティングは3月2日に始まり、いわきの里の地域密着型特別養護老人ホーム「サンシャインよしま」で毎週金曜の夜に開催しています。
● 職員側の都合ではなくご利用者様のやりたい事の実現へ
3月までの話し合いで、ご利用者様は職員のサービス提供時間に合わせて生活しているという課題に気付きました。それを受け、ご利用者様が自宅にいるようにやりたい事ができる生活を実現させたいという介護の方向性を確認。4月初めの2週間でご利用者様やご家族に普段の生活サイクルや意向を中心に聞き取りました。対象のご利用者様は、いわきの里の「サンシャインよしま」、ショートステイ「よしま」(いずれも好間地区)と平地区の地域密着型特別養護老人ホーム「ひなた」からモデルケースとして選ばれた計5人。作成した「24時間シート」を活用し、有志は各職場の職員にも協力を呼び掛けご利用者様に聞き取りしました。
● ご利用者様の要望 聞き取り成果を報告
今月13日の会議では2週間の聞き取り成果を報告。村井施設長、畠山理事のほか、介護士、看護師、ケアマネジャーら職員有志8人が集まり、5人分の24時間シートを貼り出して見比べました。「貼り絵をみんなで楽しみたいけど、ユニット内にできる人が他にいない」というご利用者様の声を聞いた職員は、「ユニットの枠にとらわれず、趣味で集まれるクラブ活動のようなものができないか」と提案。ほかの職員は「編み物がやりたいというご利用者様もいた」と趣味を楽しみたい声がほかにもあったと指摘。「小まめにツメを切ってほしい」「もっと話がしたい」などの要望のほか、食事面では「太麺(めん)だと消化しにくいから細麺にしてほしい」という声を受けて、すでに厨房に改善を依頼したという報告もありました。
● ご利用者様の声に耳を傾け気付いた事
これまで要望を拾い切れていなかったと気付いた職員は「(聞き取り調査で)ご利用者様がなおざりになった現状が浮き彫りになった」と反省するとともに、ケアプロを機にご利用者様と会話が増えたと成果を確認。「何を求めているか、聞こうという意識が生まれた」「聞き取りしてまとめたことで、自分が普段取り組んでいるサービスが可視化されて再確認できた」などの気づきも共有しました。今後は、聞き取り調査を1週間延長するとともに、共感してくれる職員をどう増やすかの具体案を次回までに考えてくることを決定。さらに、来月5月には貼り絵をやりたいご利用者様を一堂に会したイベントの開催を決定しました。
● 「やったらできる。またやろう」 生み出せるか好循環
この日は、聞き取り調査を機に“巻き込まれた”形で初参加した介護職員の姿も。「とりあえず見に来ました」と照れ笑いを浮かべるその職員に、ほかの有志は「もう次から参加だよ」と笑顔で声を掛けるなど、会議は終始なごやかムードで進みました。ケアプロ発起人の一人、プロジェクトマネジャーの畠山理事は「『どうせ無理だろう。だからやらない』という悪循環ではなく、『やったらできた。またやろう』という好循環をケアプロを通して生み出したい。職員が楽しく仕事できれば、ご利用者様にもっと喜んでもらえる」とケアプロの狙いを話します。有志の一人、看護職の大和田千鶴さんは「やりたい人が集まって意見を出し合える場があるのは刺激的」と話していました。
【いわきの里ホームページ】
http://iwakinosato.jp/