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投稿:2018年04月07日更新:2021年05月12日

多職種連携・地域連携

288. 地域福祉にも貢献 訪問理美容・いわき市内郷の「どこでもロダン」

福島県初の訪問理美容事業所として12年前にオープンした「どこでもロダン」(いわき市内郷地区)は、外出困難なお年寄りの住む自宅や施設を回って散髪しています。福祉に理解のあった先代社長の思いが引き継がれ、お年寄りや障がい者、子育て中の母親にも利用しやすいサービスに熱心。全理美容師はヘルパー2級の資格を持ち、認知症者相手にも柔軟に対応します。グループホームや高齢者宅の訪問では、理美容師持ち前の“おしゃべり力”を発揮して会話は弾みます。お年寄りはさっぱりすると、表情がほころびました。

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↑自宅で散髪してもらった女性=いわき市内・2018年3月28日

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↑介護施設での訪問理美容=いわき市内・2018年3月27日

● 先代社長の福祉への想い
「どこでもロダン」を開業したのはいわき市立総合磐城共立病院内で理容室「ロダン」を営み去年亡くなった先代の鈴木英治さん(福島県理容生活衛生同業組合・元副理事)。病院で患者の散髪をしていた鈴木さんは、体の不自由な人の苦労をいつも目の当たりしていました。外出困難な方の力になろうと約15年前に同組合や個人で訪問散髪ボランティアを始めました。それでもまだ支援が足りないと痛感し、2006(平成十八)年に開業。同組合員にヘルパー2級の資格取得を勧めたのも鈴木さんで、「どこでもロダン」の理美容師は全員取得しています。

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● 増えている利用者
「どこでもロダン」を運営する「クリエイティブロダン」は現在、鈴木さんの長男・明夫さんが代表取締役として跡を継いでいます。訪問理容の利用者数は多い月で約100人。明夫さんが「在宅で困っている人が多いのを感じる」というように、新しい利用者が毎月6~10人増えているといいます。「どこでもロダン」の理美容師は、訪問サービス代表で鈴木さんの次女・橋詰光子さんを含めて6人。橋詰さん以外は、元理髪店経営者らの平均60代のベテランです。

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● 介護施設 ホール全体、まるで理容室
いわき市内のグループホームに3月下旬、理美容師3人が訪問。施設ホール内の洗面台2基の前に“特設バーバーチェア”を設け、その横にははさみ、バリカン、シェービングカップなど理髪用具を入れたワゴンも設置して準備万端。車いすのお年寄りにはそのまま座った姿勢で散髪します。2カ月ごと訪問してお年寄りの名前と顔も覚えている理美容師は「元気してました?」「髪伸びたね。暖かくなったから短くしましょうか?」と明るく声掛け。お年寄りは仕事の昔話を語り、職員も会話に交じります。ホールのテーブルは“待合室”になり、演歌番組を見て順番を待つお年寄りも時折会話に参加。ホール全体が理容室になっているかのようで、「どんな話が喜ぶかもチェックしている」(橋詰さん)のもあって話は弾みます。約1時間半で9人の髪はさっぱり。「元気でね」とあいさつして“閉店”しました。

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● 一人暮らし女性宅 近況を楽しくおしゃべり
別の日には、市内の80代の一人暮らし女性宅を訪問。化粧台の前にブルーシートを敷いた上にいすを設置します。理容師は「これだけ髪伸びたらうるさかったでしょう」と話しながらはさみを動かします。女性は通っているデイサービスや病院での近況などを話し「(理容師と)おしゃべりできて楽しい。愚痴もこぼせるし」とにっこり。女性は顔剃りもしてもらいさっぱりした表情を浮かべました。

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● 役立つヘルパー2級の資格
散髪を望んで来店する店舗理容とは異なり、訪問理容はそれを嫌がる認知症者を相手にするケースも。ある理容師は「家族から聞いた好きな話をして和ませる。そうすると散髪を受け入れるようになって、最後は『さっぱりした。またね』と言ってもらえる」とその対応法を語ります。「実習で認知症者を見てきているし、ヘルパー2級の資格が役に立っている」とも。橋詰さんは産後に外出困難な母親の力になろうと「産前産後ママヘルパー」の資格を取得し、“福祉美容師”として活躍の幅を広げています。

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● 夢の一つに訪問車両の購入
先代が書き残した夢の一つに「車内で理髪できる訪問車両の購入」があったといいます。明夫さんは「将来は訪問車両を買って、限界集落や避難所などを訪問したい」と先代の想いを引き継いでいます。「地域のお年寄りとコミュニケーションが取りやすい仕事なので見守りもしたい」という地域貢献への思いも語っていました。

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【どこでもロダン】
ホームページ:http://docodemo.creative-rodan.com/
フェイスブック:https://www.facebook.com/saruakio/