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投稿:2018年04月03日更新:2021年05月12日

多職種連携・地域連携

285. 認知症者への対応 劇で分かりやすく・いわき総合高生が公演、医師らが解説

「認知症講演会~観て、知って、学ぶ認知症」がこのほど、いわき市文化センターで開かれました。新田目病院の菅野智行院長の講演のほか、全国大会出場経験もある県内屈指のいわき総合高演劇部が劇で認知症者への正しい対応を紹介。菅野院長や介護職員らを交えたパネラーが分かりやすく解説し、来場者は認知症に理解を深めました。

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↑認知症劇を披露するいわき総合高の演劇部員

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↑「認知症と向き合う」と題して講演した菅野院長

● 認知機能低下の4つのサイン
菅野院長は「認知症と向き合う」と題して講演。認知症の高齢者が増えて経度認知障害(MCI)の早期介入の効果が検討されている現状を語りました。認知機能低下のサインとなる4つのポイントも紹介。「もの忘れが目立つ」記憶障害については、何を食べたかなど体験の一部分を思い出せないのが老化で、食事自体の体験全体を忘れるのが認知症というそれぞれの違いを説明。「時間や場所で戸惑う」見当識障害は、日付や曜日が分からなくなり、季節に合わない服を着たり、外出時に迷子になります。「今までできたことができなくなる」実行機能障害では同じ物ばかり買ったり、家計の管理ができなくなったりします。失敗を指摘されると必要以上に怒ったり、日課や趣味をしなくなったりし「人柄や態度、習慣が変わる」点も指摘。認知症の予防では、高血圧や高脂血症など血管の健康に注意する、バランスの良い食生活、規則正しい生活リズム、趣味などで脳を刺激することを挙げました。

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↑演劇ごとに解説するパネラー

● 毎日タマゴを買いに来る認知症者 どう対応?
いわき総合高演劇部の生徒は、家や外で認知症者がよくとる行動を演じました。計算できず小銭で支払えない場面や、保険証を無くしたと市役所を度々再発行に訪れる場面など5つのシーンごとに認知症者への悪い対応と良い対応を披露しました。各場面後、パネラーの菅野さん、平地域包括支援センターの円谷好さん、ヘルパーステーションとこしえの管理者の長谷川正江さん、グループホームあしびの統括管理者の伊藤里江さんの4人が解説。認知症者が店に毎日タマゴを買いに来る劇の解説では、パネラーが実際に行った成功例を紹介。タマゴを買った認知症者に「割れやすいので後で家に配達します」と伝えるよう事前に店員に頼み、払ったお金は後で娘が取りに来るようにしたといいます。地域の方々と連携して認知症者を支える例を共有しました。

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● 物盗られ妄想 自分で発見させるよう工夫
認知症のおばあちゃんが家で財布を探す場面では、財布を見つけてくれた息子夫婦におばあちゃんは「お前さんたちが盗んだからそこにあったのが分かったんでねえの」と激怒。上手な対応として、息子夫婦は「タンスを探してみてください」と財布のある場所におばあちゃんを誘導させ、自分で発見させるよう工夫。菅野院長は「これは物盗られ妄想。自分が置き忘れた非を認めたくないので、近くの人のせいにする」と解説。長谷川さんは「認知症者は日々不安を抱えている。物取られ妄想になる前に、日々の会話の中で安心感を与えることが大切なので普段からゆっくりコミュニケーションを取ってほしい」とアドバイスしました。講演会は3月21日に開かれ、いわき市と福島県認知症疾患医療センターが主催。

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