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投稿:2018年03月24日更新:2021年05月12日

多職種連携・地域連携

278. 内郷「高坂9区」、中学校で「つどいの場」 骨折したお年寄り発見も・いわき市内15行政区で「住民支え合い活動」

いわき市13地区内の15行政区では「住民支え合い活動」が展開されています。住民サポーターが買い物やごみ出し、見守りなどを代行してお年寄りを支えています。15行政区のうち、内郷地区「高坂9区」の取り組みは、市地域包括ケア推進会議でも住民活動の好例として紹介されました。サポーターが中学校で運営する「つどいの場」は、家で歩けなくなっていたお年寄りを発見するきっかけにもなったり、生徒と交流する場にもなっています。困り事に応えようと病院の付き添いや料理、網戸の張り替えなども支援。住民が安心して暮らせる地域づくりをめざし、少しずつ支え合いの輪を広げています。

● 「住民支え合い活動」とは?
「住民支え合い活動」は市から受託した市社会福祉協議会(市社協)が2015(平成二十七)年度から主催し、2017年度からは市社協の独自事業として継続。住民同士による支援体制づくりを進めてきました(※)。研修会で養成された「支え合いサポーター」が各行政区に登録され、買い物、電球交換、掃除、窓ふき、話し相手、障子の張り替えなどの生活課題に応えます。さらに「つどいの場」を運営しての交流の創出や、見守り・話し相手などの訪問活動を行う地区もあります。活動は市外からも注目され、これまで千葉県柏市などから関係者が視察に訪れています。


住民支え合い活動のモデル地区 (640x469)

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● 「高坂9区」 つどいの場欠席者を案じ家庭訪問
「高坂9区」では約220世帯約600人が生活。40~70代の14人が住民サポーターとして登録されています。毎月第三水曜日に開いている「つどいの場」は2016(平成二十八)年3月に始まりました。地区内に集会所がなかったため、内郷一中に場所の協力を依頼。運動会など単発的でなく地域住民との継続的な交流を深めたい学校側の思いとも一致し、会議室の利用が許されました。毎回10人ほど参加するお年寄りは、孫の通った学校に“登校”でき給食も楽しめて好評。花壇の花植えや防災訓練を中学生と一緒に行うこともあります。また、いつも姿を見せていたお年寄り女性が欠席した日。心配したサポーターが家を訪問すると、立てずにひざで歩くその女性を発見して専門機関につなぎました。その後、サポーターはその女性の病院の付き添いや料理などの支援を行っています。

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↑給食の準備をする住民サポーターたち

● 学校給食味わい談笑 住民交流の輪広げる
16日の「つどいの場」には、最高80代の住民8人とサポーター4人が集まりました。接骨院の無料送迎車で帰宅ついでに立ち寄り、杖をつきながら元気に姿を現したお年寄りも。普段は砂絵や松ぼっくりの飾り付け、折り紙などで手を動かしますが、この日はおしゃべり。持ち寄ったお菓子やデコポンとコーヒーを味わいながら、近況報告や孫の高校入試、趣味の話題に花を咲かせます。ここで初めて会ったという住民同士も談笑しています。お昼になるとサポーターから配膳されて給食を楽しみます。メニューは、ナメコ汁、魚フライ、和え物、ご飯、牛乳。「昔は給食なんて無かったし、こんなうまい物食えねかった」と笑顔で頬張ります。サポーターから竹で作ったカブトムシの写真をスマートフォンで見せられると「器用だねえ」「わたしは昔着物を作っていたよ」などと会話が弾んでいました。

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↑内郷地区「高坂9区」の小堀区長(右から2人目)

● 悩みため込む住民多く、傾聴活動にも力
「つどいの場」の運営のほか、一人暮らしのお年寄りを中心に困り事を聞き出す傾聴活動、病院の付き添い、草引き、雨戸の張り替えなどの支援も行っています。小堀享区長は「悩み事はあるはずなのに、自分でやろうと我慢強い住民が多い。一人暮らしのお年寄りも増えている」と語り、この地区の傾向から傾聴活動に力を入れています。サポーターは、無料通信アプリ「LINE(ライン)」でグループをつくって情報共有も行っています。

● 住民同士助け合える地域へ
高坂9区は炭鉱が盛んだった時代、長屋が建ち並んで住民が家族のように助け合って生活していた地域。閉山後は新しい住宅地ができ、住民同士のつながりは薄れていきました。閉じこもるお年寄りをどう外出させるかなど課題はあるようですが、小堀区長は「今後も困り事を拾い出して住民で支え合う地域をつくりたい」と意気込みます。市社会福祉協議会内郷地区協議会の生活支援コーディネーターも住民同士が助け合う活動を支援していきたいと話していました。

【住民支え合い事業】
いわき市社会福祉協議会ホームページ:http://www.iwaki-shakyo.com/jigyo/koureisya-fukushi/%E4%BD%8F%E6%B0%91%E6%94%AF%E3%81%88%E5%90%88%E3%81%84%E4%BA%8B%E6%A5%AD.html

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「市内13地区ごとに開催されている『第2層協議体』会議。住民支え合い活動に取り組む代表者もメンバーに加わり、生活課題や解決策を話し合っています」2018年3月9日投稿:http://ymciwakikai.jp/blog-entry-423.html