障がい児者が自立した生活を送れる地域づくりへ新たな一歩。課題を共有し協力し合って解決に取り組もうと、いわき市小名浜地区で「障がい児者支援事業所ネットワーク会議」が誕生しました。市内で先駆けた取り組みで、同地区がいわきの障がい福祉事業所連携のモデルになると期待されます。1回目の会議がこのほど市役所小名浜支所で開かれ、出席者の多くは「人材不足」でサービスを改善できない苦しい声を共有しました。今後は障がい児者のニーズや支援者の悩みなどの情報交換を活発化させ、事業所一丸となって障がい児者サポートに挑んでいきます。
● 設立の5つの目的
地域で障がい児者を支えられる仕組みをつくろうと、いわき障がい者相談センター小名浜地域が主催。①事業所間で顔の見える関係をつくり連携を促進②支援や事業所の課題を共有し合い事業所の質を高める③生活課題・ニーズ・社会資源の把握④障がい支援の地域づくりと社会資源の整備⑤介護離職の予防、を目的に設立しました。障がい者支援体制の構築を議論する「いわき市地域自立支援協議会運営会議」(事務局・市障がい福祉課)への提案も行う予定で、具体的対策の協議を求めていきます。小名浜地区内にある障がい福祉サービスの全36事業所(※)に声掛けし、2月27日に開催された初回の会議には18事業所から職員23人が出席しました。
● 圧倒的多数の悩みに「人材不足」
初回の会議では、出席者一人一人が自己紹介と現場の困り事を話しました。「人材不足」という悩みが圧倒的多数で、そのため新規利用者を受け入れられなかったり、利用者のサービス希望時間に応えられなかったり、送迎ができなかったり、きめ細かいモニタリングができないなどの葛藤の声が挙がりました。障がい分野経験のあるヘルパー不足から人材育成も課題とする意見も。ある出席者は「いろんな情報を皆さんと共有して、前進していきたい」と意気込みました。今後については、生まれてからのライフステージに沿った支援を介護事業所も交えて地域でできるようにしたい、といったアイデアも出ました。
● 会議は毎月1回開催
小名浜地域包括支援センターの管理者・加藤幸恵さんは「ニーズがあっても対応できない声が多い」と感想を述べ、ニーズが細かい障がい分野と高齢者分野の違いや社会資源の見つけ方とつなげ方の課題も挙げました。いわき基幹相談支援センターの管理者・園部義博さんは、サービス資源や横のつながりの不十分さに触れ「地域単位でどういう資源があればどういう人を支援できるか意見を出し、一歩でも二歩でも進めていきたい」と抱負を語りました。会議後、出席者は情報交換し顔合わせしました。会議は毎月1回開催で、次回は今月22日予定。
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「小名浜地区での障がい者福祉の展望が発表された『地域福祉ネットワークいわき』の10周年記念式典」(2018年3月1日投稿):http://ymciwakikai.jp/blog-entry-416.html