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2019年06月26日

終末期・終活 成年後見

608. 家族に渡ったエンディングノート・亡くなった母から愛を受けた子どもたち

余命宣告を受けていた難病の女性(67)=いわき市=が今春天国に旅立ち、思いの詰まったエンディングノートが家族の手に渡りました。女性は昨夏エンディングノートの取材(※)に応じてくださった方で、自身の葬儀の要望ややりたい事、家族への感謝をつづっていました。天国からのメッセージは家族にどう伝わったでしょうか。ノートを読んで母の望んでいた葬儀を実現させた長女(45)、次女(42)、長男(36)は、あふれる愛を受け止めています。

※去年女性に取材した時の記事

「余命3年の女性、死を考え生きる」 2018年6月16日投稿:https://iwakikai.jp/blog/937/

 

● 容体が急変 「連絡してほしい人」に電話

今年4月下旬。女性は市内の病院で入院していました。夕方まで会話ができていましたが、容体が急変。「意識があるうちに書き残せなかったことを聞いておこう」と、夫は女性が書いていたノートを持参して病院に駆け付けました。子どもたちがエンディングノートを初めて開いたのはこの時で、病室のベッドの上で最後の力を振り絞る母の前でした。開いて涙がこみ上げた長男は「しっかりしないといけない」とすぐ閉じました。ただノートに書かれていた「連絡してほしい人」だけを確認して電話。ノートが導きとなり、女性がまだ呼吸しているうち、親友が駆け付けることができました。その晩、女性は静かに息を引き取りました。

 

母のエンディングノートを読む長女(左)と長男

 

● 葬儀の望み 全てかなえる

女性が亡くなってつかの間。葬儀の準備が始まり、家族はしっかりとノートを読みました。棺桶には胡蝶ランを入れ、参列者は明るい服を着て、楽しい話をしてほしい―。葬儀は女性が生前足を運んで頼んでいた教会で行われました。遺影も望み通りの写真を使用。長男は胡蝶ランを用意して飾り、長女と孫はノートに書かれていた讃美歌をエレクトーンで演奏。生前に旅支度を託されていた次女は、最後に衣装を着せました。女性と親交のあった長男の友人である芸人も参列し、敬意を込めてジョークを語り参列者を笑顔に。長女と長男は「準備に迷わなかった」「ノートが道しるべになって、これを実現させることに100%集中できた」とそれぞれ振り返りました。葬儀に関しては全部かなえられたといい、長女は「喜んでくれていたらいいですね」とほほ笑みました。

 

● 「アメリカに行きたい」 かなえた夢

ノートには行きたい国の一つに「アメリカ」の文字。次女家族が住む思い入れのある国です。亡くなる4カ月前―。渡米する話が進んだものの体調が悪化。病院からは「寿命が短くなる」と止められ、女性に諦めの色も。ですが長女から「本当はどうなの?」と電話で尋ねられると、女性は「行きたい!」と返事。英語の病院紹介状を持参し、次女には事前に病院を手配してもらった上で、女性と長女はアメリカに出発。次女家族と会うのはこれが最後だろうと覚悟していた女性は、力を振り絞って次女家族に料理を振る舞いました。不安のある一方で母の意思を尊重したいという次女の献身的なサポートもあり、かけがえのない1週間を過ごしました。長女は「当時反対していた親族も今では『やりたい事をさせられてよかった』と言っている」。力強く書いた夢の一つを、命の炎を燃やしてかなえさせました。

 

夢をかなえたアメリカ旅行。街中を一緒に歩く次女と母

 

● 家族の前では明るく元気

「これまでの人生を漢字一文字で表すと」という質問項目には「幸」。長女は「『幸』と書けるのはすごい」と、母の強さを感じ取りました。死後に残された母の日記を読むと、イライラしても嫌な人の悪口は一切書かず、自分の欠点を認めて改善しようとする姿があったといいます。意識が無くなる数時間前、長男は電話口で泣き崩れながら「大好きだ」と精一杯伝え、その時母からは「明るく、元気で、笑顔でね」と励まされたといいます。実際は「死ぬのが恐い」と親友に打ち明けていた母。それでも子どもには一切暗い姿を見せず、長男は「健康なこっちが励まされた」と、母の優しさを受け止めていました。

 

● 「私の子供に生まれて来てくれてありがとう」

昨夏の取材の際、女性は長女を姉弟の中で一番厳しく育てたことを申し訳なく話していました。当時「感謝の言葉は、わたしが死ぬまで絶対に見せない」とおっしゃっていたノートには、3人の子どもに向け「私の子供に生まれて来てくれてありがとう」と青いボールペンで書かれていました。長女には「兄弟をまとめてほしいと思い、きびしくしました。本当にごめん 身体をやすませてね」。悔いのないように伝えたかった母の言葉は、ノートを通して家族に伝えられました。長女は厳しく育てられていた自覚はあったようで、母の言葉に思いを寄せ、しみじみと目を潤ませました。

 

 

● やり残された母の夢

ノートにはまだかなえられていない母の「やりたい事」が残されています。富士山登頂やペルー旅行など―。長女が「事務担当」となって姉弟をまとめ、「夢担当」の長男が母の髪を持参してその場所を巡りたいと考えているそうです。同じ信仰を持って頻繁に話をしていた次女は、母の気持ちを確認する「伝授担当」。もっともっと母を喜ばせたい―。エンディングノートはこれからも道しるべになり、開くたびに天国から母のメッセージが届きます。

 

<ご協力の感謝>
終活を支援するいわき市の「おはなし聴き屋オリーブ」さんのご協力で女性を紹介していただいたのがちょうど一年前でした。今春に女性がお亡くなりになられノートがご家族の手に渡られたということで、この度再びご協力いただき、ご家族からお話をおうかがいさせていただきました。ご家族はエンディングノートの力を実感され、ほかの方に知ってもらえればという思いでお引き受けしてくださりました。プライベートな話題にも関わらず温かくお話してくださりました。一人でもエンディングノートを書いてみようと思ってくださり、より充実した人生が送れる方が少しでも増えればこの上ない喜びです。あらためましてご冥福をお祈りいたしますとともに、ご家族皆さまのご協力に厚く御礼を申し上げます。誠にありがとうございました。

おはなし聴き屋オリーブホームページ:http://ohanashi-olive.com/
「おはなし聴き屋オリーブ」の終活アドバイザー・佐藤さん(2018年5月8日投稿):https://iwakikai.jp/blog/1055/

 

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