「大変な人だなあ」そう思っていたある時、介助を受け食事を取るTさんの「おいしいな」という一言を耳にします。またある時は、Tさんが自分で湯のみを握りお茶をすする様子も目にしました。
「きちんと自分で考え動けるではないか」
ふつふつと創作意欲がわいてきたSさんは、Tさんへのこれまでの気持ちをスタッフに伝え、Tさんのためにぬり絵と書を合わせた作品をつくりたいと提案します。何度も何度も繰り返し筆ペンを走らせ、10日掛かりで完成させた「愛」と「生命を大切に」の書。秋の七草のぬり絵とともに、模造紙に張り付けた作品ができ上がりました。
ついに力作をお披露目の時。Tさんはただじっと見つめるのみで、反応は無し…。それでも「ご利用者様が認知症の方を一人の人間として受け入れ、何かを感じて行動を起こした」象徴として、スタッフは「愛」の作品を玄関ロビーに飾っています。
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