絵画を通して障がいに興味を持って、理解してほしい―。障がい児らの絵画を集めた展覧会「Smile, smile & smile! 2 ~みんなで一緒に輝こう」が11月23日まで、いわき市小名浜地区の環境水族館「アクアマリンふくしま」で開かれています。同市勿来地区のステージデザイナー・あきもとまさあきさん(55)がプロデュース。障がい者に表現の場をつくっているほか、障がい児やお年寄りに絵の楽しさを伝える取り組みにも力を入れています。
● アートを通して障がい者の力に
主催は、あきもとさんを中心に市内の有志13人でつくる「チームピカソ」。障がい者が就業で自立するのが難しい社会状況、低賃金で貯めたお金で母親にハンバーガーを贈ったという障がい者のエピソードを聞いたあきもとさんは、心を揺さぶられ、アートを通して障がい者の力になれないかと考えるようになりました。あきもとさんは、障がい者の優れた絵画を集める展覧会はあるが、誰の作品でも展示する機会はないのに気づき、去年この展覧会を企画。会場は、美術館では特定の来場者になりがちなため、不特定多数の人が集まる「アクアマリンふくしま」に。「障がい者に表現する手段をたくさん持ってほしい」「その作品を多くの人に見てほしい」という思いを抱き始めました。
● 「水族館に森」 子どもたちの絵200点ずらり
会場には、市内外の10の障がい者施設・幼稚園・団体から集まった約200点が並びます。丹念に描写された熱帯魚、伸び伸びと描かれたかわいらしいタコ、クラゲ、マンボー、魚など、主に海を題材にした絵がずらり。水彩画やクレヨンで描かれた作品から、子どもたちの自由な発想がにじみ出ています。あきもとさんは、「水族館に森をつくろう」をテーマに絵を掲示。木材も駆使して会場を演出しました。子どもたちの絵について、あきもとさんは「素晴らしい感性を持っている。周りの目を気にせず、かっこつけず、素直に表現しているので見る者を感動させる」と語ります。これまでの展覧会では、来場者から「癒される」「いいですね」などの声があったといいます。
● 障がい児やお年寄りにも絵の指導
あきもとさんは今夏、市内で開かれた発達障がいを考える家族会「スワンキッズくらぶ」の夏祭りなどにも参加。子どもたちに絵を描く楽しさを伝えました。さらに、北茨城市の老人福祉施設では認知症のお年寄りに絵の指導も。あきもとさんは「手を使い、考えるので脳が活性化される。『楽しい』と言ってくださったり、笑ってくださったり、毎回帰る時は握手を求められる」とほほ笑みます。「障がい者もお年寄りも同じ」と幅広く活動。将来は、障がい者とコラボレーションしてアート作品をつくりたいといいます。それが実現すれば、障がい者への自立支援につながり、あきもとさんも表現の幅が広がります。あきもとさんは「簡単ではない夢かもしれないけど」と笑いますが、障がい者支援も兼ねた芸術活動に情熱を注いでいます。
↑スワンキッズクラブの夏祭りイベントに参加し、子どもたちに絵の楽しさを伝えるあきもとさん(右)=2017年7月29日、いわき市の山田公民館
↑障がい児らの絵画を集めた展覧会が開かれている「アクアマリンふくしま」=2017年9月26日
【あきもとさんのイベント】
名前:Smile, smile & smile! 2 ~みんなで一緒に輝こう~
期間:2017年9月23日から11月23日
場所:環境水族館「アクアマリンふくしま」(福島県いわき市小名浜字辰巳町50)
【アクアマリンふくしま】
ホームページ:http://www.aquamarine.or.jp/index.html