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投稿:2019年01月12日更新:2021年05月11日

多職種連携・地域連携

488. 終末期の備え、低所得者の「身元引受」、介護予防、医療福祉の連携… 本年度の取り組み共有・市地域包括ケア推進会議

いわき市地域包括ケア推進会議がこのほど、いわき市総合保健福祉センターで開かれました。健康や終末期の備えの啓発、低所得で身寄りのない市民の支援策、介護予防、医療・介護・福祉の連携に関する行政の取り組みが報告されました。

※ 市地域包括ケア推進会議とは
「団塊の世代」が75歳を迎える2025(平成三十七)年には、全国で約3人に1人が高齢者になり、認知症者が700万人に上ると予想されています。この超高齢化社会を見すえて国は、お年寄りたちが住み慣れた地域で自立した生活を送れるよう「医療・介護・予防・住まい・生活支援」を一体的に提供する「地域包括ケアシステム」の構築を進め、全国各自治体は「努力義務」として「地域ケア会議」を設置し取り組みが進んでいます。いわき市も2015年、「個別ケア会議」「小地域ケア会議」「中地域ケア会議」「市地域包括ケア推進会議」の主に4会議でつくる「市地域ケア会議」を設置(※1)。市内の有識者でつくる委員から意見を取り入れながら活動を展開しています。本年度の委員は24人(※2)。「地域包括ケアシステム」を構築する上で重要な「本人の選択と本人・家族の心構え」「すまいとすまい方」「介護予防・生活支援」「医療・看護」「介護・リハビリ」「保健・福祉」(※3)のテーマに沿った市の取り組みを共有します。

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● 市内各地で展開 体験・学習イベント
市民に健康や介護、終末期医療の理解をうながす「本人の選択と本人・家族の心構え」の取り組みでは、「体験・学習」と「情報媒体」で報告。7地区の中地域ケア会議では在宅ケア講演会、介護フェア、年間を通した健康塾、認知症声掛け訓練などが展開(※4)。去年秋に平地区で開催された「いごくフェス」の報告もあり、「死」の心構えをテーマにした本公演、認知症VR体験会、シニアポートレート撮影会などの様子が伝えられました(※5)。これまで4号まで制作されている地域包括ケアのフリーマガジン「紙のいごく」の発行部数は5000部で、市内の公共施設などで配布中。

※4. 主な中地域ケア会議での取り組み
「平地区・声掛け訓練『ハイカイチュウ』」2018年9月14日投稿:http://ymciwakikai.jp/blog-entry-559.html

「内郷・好間・三和地区・認知症地域相談窓口の開設記念講演会」 2018年7月24日投稿:http://ymciwakikai.jp/blog-entry-524.html

「四倉・久之浜・大久地区・認知症声掛け訓練教室」 2018年11月8日投稿:http://ymciwakikai.jp/blog-entry-604.html

※5
「認知症VR体験のプレイベント」 2018年7月25日投稿:http://ymciwakikai.jp/blog-entry-525.html

● 低所得で独り身 住まいを保証するために
「すまいとすまい方」では低所得で独り身の入院・入所に関する支援を検討している経過を報告。「身元引受人」「連帯保証人」を確保するため、行政、民間、社会福祉法人など、様々な関係機関で人的支援や費用負担を支援していく仕組みづくりを検討中。「住まいの保証」システム構築の課題把握のため、今年10月までに介護・障がい福祉、不動産、清掃、葬祭、寺の関係者との意見交換を実施してきました。その意見交換会では「社会福祉法人としては公益事業のお金を活用できる好機」、「財源的な負担に多少の抵抗がある」といった様々な意見が報告されました。このほか、川前地区での取り組みが紹介され、地域資源(鬼ヶ城)を活用し冬季限定で暮らす取り組みについては、引き続き、地区で検討され、来月ごろに住民アンケートを実施していくとのことでした (※6)。

※6
「冬期間の共同生活計画が報告された『小川・川前地区中地域ケア会議』」 2018年10月13日投稿:http://ymciwakikai.jp/blog-entry-584.html

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↑意見を述べる山内俊明委員(手前左・当法人医和生会理事長)

● 介護予防の取り組み
「介護予防・生活支援」では、介護予防を狙った「つどいの場」づくり(※7)の現状が共有。今年3月と比較し、今年12月の「つどいの場」数と参加実人数がそれぞれ、26カ所増の439カ所、160人増の9193人だったのが明らかになりました。去年10月に始まったケアマネジメント支援会議(※8)を通して見えた課題としては、自立につなげても「つどいの場」といった受け皿がない「地域資源の不足」、アドバイスに即した指導ができない「介護事業所のスキル不足」などが挙げられました。シルバーリハビリ体操の普及も兼ねた「はじめてのシルリハ体操教室」(※9)では、参加者有志による自発的な活動につながり、「かしま病院」と「下平窪公民館」で新たな「つどいの場」が立ち上がっています。生きがいづくりや介護予防を目的にした「いきいきシニアボランティアポイント事業」(※10)では、スタートした2016年度から参加者と受け入れ機関が増えており、引き続き、広報や受け入れ機関の拡大などに力を入れていきたいとの説明がありました。「住民支え合い活動」(※11)は、自治会などの生活に身近な圏域での活動として、モデル15地区での取組みが継続していますが、本年度は小名浜玉露区をはじめ、新たに6地区が加わっており、市内21地区での活動が展開されているとのことです。

※7
「『つどいの場』の創出事業」 2017年4月18日投稿:http://ymciwakikai.jp/blog-entry-164.html

※8
「介護予防ケアマネジメント支援会議」 2018年10月11日投稿:http://ymciwakikai.jp/blog-entry-582.html

※9
「はじめてのシルリハ体操教室」 2018年8月10日投稿:http://ymciwakikai.jp/blog-entry-537.html

※10
「いきいきシニアボランティアカード」 2017年6月7日投稿:http://ymciwakikai.jp/blog-entry-200.html

※11
「内郷『高坂9区』での住民支え合い活動」 2018年3月24日投稿:http://ymciwakikai.jp/blog-entry-434.html

● 「医療・介護の連携」
「医療・介護の連携」の取り組みでは、退院調整ルール策定(※12)から1年半後、退院時に病院でケアマネジャーの連絡が71.6%あり、策定前と比べて18%改善されたと報告。昨年度に引き続き本年度も2回、「いわき市在宅医療推進のための多職種研修会」(※13)が開かれて医療と介護福祉の関係者が受講。市内7カ所で「在宅医療出前講座」(※14)が開かれ、市民計279人が聴講。認知症対策として、「認知症初期集中支援チーム」の地区会議の立ち上げの動き(※15)、一般市民向けの認知症サポーター養成講座の開催報告もありました。オレンジカフェ以和貴(※16)は、年度内に勿来地区で2カ所新設され市内計8カ所になる予定。今年7月に結成された市介護事業所協議会(※17)は現在、「訪問介護」「通所介護」「認知症サポート部会」に分かれて活動中と伝えられました。

※12
「いわき医療圏退院調整ルール(いわき市ホームページより)」:http://www.city.iwaki.lg.jp/www/contents/1488342011163/index.html

※13
「去年の『いわき市在宅医療推進のための多職種研修会』」 2017年7月12日投稿:http://ymciwakikai.jp/blog-entry-231.html

※14
「平地区の在宅医療出前講座」 2018年11月21日投稿:http://ymciwakikai.jp/blog-entry-613.html

※15
「認知症初期集中支援チーム、拡大へ・平地区」 2018年10月29日投稿:http://ymciwakikai.jp/blog-entry-596.html

※16
「オレンジカフェ以和貴(いわき市ホームページ)」:http://www.city.iwaki.lg.jp/www/contents/1454293773647/index.html

※17
「いわき市介護事業所協議会」 2018年7月19日投稿:http://ymciwakikai.jp/blog-entry-520.html

● 委員からの声
「すまいと住み方」の「住まいの保証」について、委員から「本人の意志を確認できるシステムにしたい」「身寄りのない人の遺品・財産整理も社会問題になっている」などの意見が出ました。「住民支え合い活動」については「活動する人材の育成が大切」、「参加地区を増やすため、社協独自の援助金もあるのでぜひ周知してほしい」といった発言もありました。推進会議は12月19日に開催されました。

【関連情報】
「いわき市地域包括ケア推進会議について。これまでの推進会議の資料、議事録も閲覧できます(いわき市ホームページより)」:http://www.city.iwaki.lg.jp/www/contents/1001000000097/index.html

【いわき市地域包括ケア推進会議の関連記事】
18年度:http://ymciwakikai.jp/blog-category-39.html
17年度:http://ymciwakikai.jp/blog-category-35.html