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投稿:2018年02月14日更新:2021年05月11日

多職種連携・地域連携

248. 地域連携で防災・愛知県西尾市の下町自主防災会の中根副会長に聞く

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↑学習会で障がい者の防災について話し合う中根さん(右)=2017年12月20日、いわき市総合保健福祉センター―東海地方では南海トラフ巨大地震の発生が懸念されている中、下町自主防災会では具体的にどういった活動をなされていますか?

下町自主防災会は2004(平成十六)年7月、当時の西尾市総務課の「市内全域に町内会を母体とする自主防災組織を編成する」施策の一環として設立されました。総務課が提示した活動案に沿って、情報班・消火班、救出救助班、避難誘導班、給食給水班を編成しています。メンバーは現在、原則全世帯家族を含めた600人弱で、60人が役割を持っています。活動はさまざまです。メンバーの消火や救護力を高めるため、初期消火、心肺蘇生(そせい)法、応急手当の訓練。災害発生時に混乱しないよう、一時避難場所や避難経路、誘導方法の確認もします。また、災害時に使わせてもらう住民宅の井戸の点検や炊き出し訓練、救援物資の配り方の確認などに取り組んでいます。多くのメンバーに色々な経験を積ませるため、各班のメンバーは毎年交代しています。災害対策基本法の改正で市長寿課が主体となり、避難に支援を必要とする住民の名簿を作成し、それを自主防災会会長や民生委員と共有しています。下町自主防災会では2016(平成二十八)年度から、名簿登録者の家を安否確認して訪ね回る訓練に取り組んでいます。今後は住民の避難をより円滑にするスキルの習得をめざし、その学習会や実践的な訓練をしたり、日ごろからの支援者と被支援者の関係づくりを進めたいです。

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↑訓練する下町自主防災会メンバー(中根さん提供)

―災害に備え住民同士支え合うための地域づくりは必要だと思いますが、西尾市下町地区ではどのくらい進んでいますか?

下町地区では、地域住民の支え合いは比較的にできている方だと考えています。町内会、神社やお寺の当番など多数の活動があり、子ども会や成年会、お年寄りが自主的に趣味やボランティアなどする「HOT会」などとも連携して活動しています。地域防災の面では、市内でもしっかり取り組んでいるほうだと思います。市危機管理課で訓練報告書を閲覧させてもらったことがありますが、ほかの地区と比べても充実していると思います。

―下町地区の支え合う地域づくりに自信を感じます。今後さらに災害に強い地域づくりをめざすために西尾市、あるいは下町地区の課題はありますか?

下町地区だけでなく、西尾市全体の共通課題と思いますが、高齢者や障がい者の支援です。高齢者や障がい者への対応の必要性は把握していましたが、個人情報保護の観点で躊躇(ちゅうちょ)することが多く、取り組みが進んでいませんでした。市が動き出したことでやりやすくなりましたが、まだ具体的な支援策の導入には至っておりません。さらに介護福祉の知識や態度・技術の習得がなければ、近所の知り合いに頼もうにも信頼を得られず頼めません。まずできることは、災害時の高齢者・障がい者支援に取り組む前に、平常時の地域での福祉支援を充実させる必要があります。その活動として、地域包括ケアシステムの地域住民による支え合いの活動をもっと活発化するのがよいと思っています。

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↑話し合いをする下町自主防災会(中根さん提供)

―昨年12月の「災害時の要配慮者支援を考える学習会」に参加され、得たものは何でしたか?

ディスカッションが素晴らしかったです。「知的障害」「聴覚障害」「発達障害」「身体障害」「重症心身障害」「食物アレルギー」のグループに分かれ、各組に当事者やその家族が参加して議論しました。当事者と支援者が同じテーブルで一緒に議論することで、一歩前進できることを実感できたのが最大の成果だと感じています。そこで災害時に苦労される点やその対策、具体的ニーズを知ることができました。西尾市は、福祉施設と災害時協定を結んでおり、福祉避難所として利用させてもらえるよう備えていますが、そこに避難するためのトリアージや移送方法の訓練などはまだ実施されていません。今回の話し合いで、これらの必要性をひしひしと感じました。

―今年から本格的に地域包括支援センターの生活支援コーディネーターとして活躍されるそうですね。西尾市下町地区の住民同士が助け合う地域づくりへ、意気込みをお聞かせください。

自主防災会の活動がしっかり定着した地域です。必要性を理解して、できることをコツコツ積み上げることができる地域ですので、地域包括ケアシステムも同様に取り組んでいけると思います。「我が事・丸ごと」の概念や、地域一体で取り組むことが自分や家族を守ることにつながるという認識を、住民一人一人に理解してもらえるよう働き掛けたいです。それを通して、様々な団体と横のつながりをつくり、困り事のニーズも収集したいです。その先は、平常時の地域包括ケアの活動と災害時の要支援者対応が連動できるように発展させていきたいですね。同じ地域に住む人たちが「スイッチを切り替える」ごとく、お年寄りや障がい者たちを支える役割や活動内容をスムーズに切り替えて対応できるように融合させていけたらよいと思います。

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「中根さんが参加した『災害時の要配慮者支援を考える学習会』」 2017年12月27日投稿:http://ymciwakikai.jp/blog-entry-372.html

「アレルギー支援もする中根さんと交流のあるアレルギーっ子交流会『もぐのび』」 2017年7月29日投稿:http://ymciwakikai.jp/blog-entry-250.html