↑講話する山内院長
● 心臓病による血栓から起こる脳梗塞も
山内院長は、日本人の死因4位の「脳卒中」の一種「脳梗塞(こうそく)」について語り、起こる原因や後遺症を説明。脳梗塞の種類のうち「ラクナ梗塞」と「アテローム血栓性脳梗塞」は動脈硬化に起因しますが、「心原性脳塞栓症」は心臓病による血栓の影響で起こり、重度障害におちいりやすく再発の可能性も高いと注意しました。その「心原性脳塞栓症」の原因の80%以上という「心房細動」の早期発見方法もアドバイス。脈拍が不規則なリズムなら危険と警告し、皮ふの下に埋め込む心電計を利用し発作性心房細動を見つけ出す研究についても話しました。治療方法として「アブレーション」などいくつかの手術も紹介されました。そのほか「ワーファリン」「プラザキサ」「イグザレルト」など5種類の抗凝固薬を挙げ、特徴を比較。「寝たきりになるのは、女性は骨粗しょう症など身体的な理由だが、男性は脳梗塞が多い」と健康な生活を呼び掛けました。
● 認知症初期集中支援チーム いわき市の体制は?
金成主査は、認知症の疑いのある方や認知症の方に早期に関わり、包括的・集中的な支援を行う「認知症初期集中支援チーム」について講話。厚生労働省は2015(平成二十七)年1月に策定した「認知症施策推進総合戦略」(新オレンジプラン)で、この「支援チーム」を全国の自治体で設置すると目標としています。認知症状が悪化してから受診しているケースが多いなど、早期対応が求められて創設に至った背景を説明しました。初期の認知症者を早期発見し、包括的・集中的(概ね6カ月)な支援で医療や介護サービスにつなげるのが目的。いわき市は2016(同二十八)年6月、このチームを本庁に設置(※)。地域包括支援センターに入った相談内容から支援を実施し、昨年末現在で32回訪問支援しています。課題では、受診拒否や家族の協力が得られずに医療機関につながらないケースもあったといいます。さらに、月平均の訪問回数は国が3回に対しいわき市は0.98回で、チーム員数の不足も課題です。今年から市医師会、市作業療法士会、市薬剤師会の協力を得られるようになり、課題の改善に取り組んでいます。住民からの情報で定期的な見守りができるようになった成功例も紹介。金成主査は「多職種の方々と連携しながら取り組んでいきたい」と目標を語りました。
※
いわき市認知症初期集中支援チーム(平成29年10月現在)
認知症専門医 1人
看護師 1人
認知症地域支援推進員(地域包括支援センター職員) 5人
【関連情報】
「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」(厚生労働省ホームページ):http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000064084.html
「いわき市の認知症初期集中支援チーム」(いわき市ホームページ):http://www.city.iwaki.lg.jp/www/contents/1466035692198/index.html