あらためまして、本年もよろしくお願いいたします。
―昨年はどのような一年でしたか?
医和生会グループにとっての平成29年は、人員不足、人材不足と戦い始めた年でした。少ない人材の中で、医和生会が行うべき仕事に能力を集中させ、私たちの地域に対する役割を果たすよう考えました。具体的には、一般型デイサービスだった「にこにこデイサービス」の閉鎖です。一般型は医療法人ではない企業でも行えるため、医和生会でしかできない医療と介護の在り方の追求をし始めました。
―現在の意気込みをお聞かせください。
私たち医和生会グループの基本は、医療と介護の連携であり、目標は在宅療養の質の向上です。もちろん開業医としての一般的な対応と私の専門である循環器科診療の内容充実も欠かせません。医療介護の連携と在宅ケア、診療の質をより高め、本人や家族の希望に添って「満足死」を叶えることができるよう、人生における終(つい)の棲家(すみか)である自宅や特別養護老人ホームなどで過ごす終末期の支援、自然な看取りの実践に取り組みます。医和生会にはそれに関わる医師が非常勤も含め5人います。5人の医師が協力して過剰な負担を避けるように工夫しながら24時間体制で在宅医療を支えていきます。これをベースに在宅訪問診療をもう少し発展させることができたら良いと期待しています。
―今年4月は山内クリニック開業25周年を迎えます。
開業から25年、4半世紀が過ぎました。ここまで来ることが出来ましたのは、たくさんの方々に協力していただいたからと心から感謝しております。誠にありがとうございます。
昨年は医和生会の基本方針を追求する1年になりました。5年後、10年後、いわき市を取り巻く人材不足、人口減少の深刻化が予想され、医療や介護をどう発展させ地域の維持と活性化につなげるかが問題です。それはいわき市だけではなく、福島県、東北、日本、そしてアジア、地球全体で起こる高齢化、温暖化による気候変動、環境の悪化への対応につながっていくと思います。話が大きくなりましたが、その答えは地域包括ケアシステムにあると考えています。
―地域包括ケアシステムの推進が急がれます。
地域包括ケアシステムの成功は、隣近所が仲良く協力し合い、助け合うことができるかにかかっています。今、医師会や行政とともに医和生会グループも地域包括ケアシステムの推進に尽力しています。しかし、医療と介護を中心としたプロ集団の思いだけでは実現できません。一般市民に「共助」「互助」の意識を持っていただくことが大切です。過酷な環境の中で責任を押し付け合っても良い結果は期待できません。一方、プロである私たちは、一般市民でもできる介護の内容や工夫を教え、不安があればいつでも相談できる環境をつくり、プロとしての責任を持つ。さらに、高齢者だけでなく、障がい者、障がい児も含め地域丸ごと、共生社会の実現に向けて努力しなければなりません。すべての住民が自分の役割を果たしながら協力し合う、自分でもできることは自ら手伝うことで、お互いの気持ちにゆとりができれば素晴らしい地域になると期待しています。
―最後に一言
私たちが住むいわき市から私たちの工夫を世界に発信していけたらという夢を持っています。これからも一緒に意見を出し合って、力を出し合い、すり切れて倒れるまで…、そうなる前にだれか、地域住民が助けてくれるような支え合う社会になることを夢に見ながら頑張りましょう。
【医和生会について】
https://iwakikai.jp/about/