↑いわき市平地区のスカイストアで開かれたオレンジカフェ以和貴=2017年3月3日
● オレンジカフェとは
認知症に悩む住民らを地域で支え合えるまちをつくろうと、いわき市地域包括ケア推進課が2015(平成27)年にスタート。医療・福祉の専門家が相談役で常駐し、認知症の知識を学べ、レクリエーションが実施されるカフェで、市民全員が参加対象です。地域の和の思いを込め「オレンジカフェ以和貴」と名付けられました。
● 伸びる施設数と利用者数
2015(平成27)年11月に平地区のスカイストアと小名浜地区の特別養護老人ホーム「サニーポート小名浜」にそれぞれ誕生したのを皮切りに、2016(同28)年1月に湯本地区の介護老人保健施設「サンライフゆもと」、同年4月に平地区の「デイサービス遊」、2017(同29)年2月に小名浜地区の鹿島ショッピングセンター「エブリア」と内郷地区の市総合保健福祉センターの「ラウンジミュウ」で、開設されました。スカイストアは市直轄で、ほかは市が委託し運営。誕生から2016年3月末までの全体の利用者は167人でしたが、2016年4月から17年3月までは341人に達しました。各「カフェ」によって増減はありますが、全体の利用者数は増えています。
● 設置場所の選定に難
その一方で課題も。市地域包括ケア推進課の金成聡司事務主任は「オレンジカフェだけの目的で福祉施設に足を運ぼうとする市民はなかなか少ない。街なかには様々なコーヒーチェーン店があり、コーヒーを楽しむならそちらに行く」と、設置場所を決める難しさを指摘します。慎重に場所を選んだ例として、鹿島エリアの2施設がオレンジカフェに名乗りを上げた際、利用者を奪い合わないように、さらに多くの市民でにぎわう場所を考慮し、その2施設が毎月交互に運営することで先月「エブリア」に開設されました。同課は、各地区の福祉関係者とさらに情報交換を図り「必要な地区や場所の見極め」を慎重に行いたいとしています。
● 運営力の向上へ
各施設の運営力向上も欠かせないと金成事務主任。カフェに入るか迷っている人を呼び込む集客力もその一つです。さらに、カフェの認知度を高める広報、「専門家の常駐」以外にもコーヒーチェーン店と差別化を図る魅力づくりにも、大きな課題が残ります。同課は先月初めて、オレンジカフェスタッフを集めて意見交換会を開き、課題を共有しました。今後も、年3、4回ほど意見交換会を開催して、運営力をさらに改善していきます。スーパーマーケットのスタッフを講師に招き、集客力を磨くことも検討しているといいます。さらに、PRに向けたオレンジカフェを今月3月26日、いわき芸術文化交流館「アリオス」で開かれる「地域づくり講演会」で特設します。
● 運営者が楽しめるように
金成事務主任は「運営者が楽しめることが大切。それができないと運営が仕事のついでになり、負担になり、モチベーションが下がる悪循環に陥る」と話します。地元のオレンジカフェの開催日が待ち遠しくなるような、個性と魅力あふれる交流の場をつくれれば、スタッフも期待に応えようと楽しくなるはず。医和生会地域連携室の中野美奈さんは「当法人もできることがあれば協力したい。例えば、講師の派遣依頼などを受けたら、医師も含めて地域のために出向くことができます」と、「カフェ」を応援していきたい構え。「カフェ」の名前に込めた「以和貴」の思いを実現するため、医和生会もサポートしていきます。
【オレンジカフェ以和貴の詳細】
いわき市のホームページ:http://www.city.iwaki.lg.jp/www/contents/1454293773647/index.html
【健康・認知症関連カフェ】
https://iwakikai.jp/blog/?c=%e8%aa%8d%e7%9f%a5%e7%97%87%e3%82%ab%e3%83%95%e3%82%a7