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2019年01月29日

地域講演 障がい福祉

501. 意思決定できない認知症者ら どう支援?・成年後見制度の研修

判断力の不十分な認知症高齢者や障がい者らの意思決定を支援する「成年後見制度」ってなんだろう。介護事業所の職員や介護支援専門員(ケアマネジャー)らを対象にした「成年後見制度と日常生活自立支援事業の活用」研修がこのほど、いわき市の労働福祉会館で開かれました。市権利擁護アドバイザーの上田晴男さんが講師を務め、約40人が聴講。判断能力が乏しく身寄りもない認知症高齢者らが自らの意思を基に財産管理や契約などを行えるよう、「制度」の仕組みを深く学びました。

● 意思決定が困難な人のための「成年後見制度」
講師の上田さんは高齢者や障がい者の権利擁護の支援システムに関し、いわき市を含め6市町でアドバイザーなどを務めています。研修では「成年後見制度と日常生活自立支援事業の活用」と題して講話しました。成年後見制度(※1)は「認知症や障がいなどにより判断能力が不十分で、法律行為の意思決定が困難な人」のために設けられ「財産管理や遺産分割協議、福祉・介護サービスの選択と決定、契約」を支える仕組みだと、上田さんは説明。この制度は2種類に分かれ、判断能力が低下する前に任意後見人とお願い事を決める「任意後見制度」と、低下後に家庭裁判所が後見人などを選任する「法定後見制度」を紹介しました。

※1
「成年後見制度とは(法務省ホームページ)。深く知りたい方は参考にされてください」:http://www.moj.go.jp/MINJI/minji17.html

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↑「成年後見制度」について解説する上田さん

● 後見人の7割は第三者
法定後見人の業務は、本人の意思尊重を義務とし、必要な医療介護サービスを契約しその提供のチェックをする「身上監護」、「財産管理」、家庭裁判所への財産状況の報告など。後見人は保証人にはなれず、手術など医療に関する同意も基本できません。「法定後見」は、本人の判断能力が、少し不十分な「補助」、不十分な「保佐」、著しく不十分な「後見」の3類型に分かれます。判断能力の程度は、基本的には家庭裁判所の所定の診断書を用いて主治医に判断してもらいますが、医師の鑑定が必要のケースもあります。2017年の後見人の74%は司法書士や弁護士ら第三者で、親族は26%だというデータも紹介されました。

● まだ利用が低い「日常生活自立支援」
いわき市では「あんしんサポート」(※2)という通称で市社会福祉協議会が実施している「日常生活自立支援事業」(※3)についても、上田さんが解説。判断能力が不十分な人を対象に、福祉サービスの情報提供や手続き代行、金銭管理、書類などの預かりといったサポートを行います。全国で190万もの相談件数があるものの契約件数はわずか約5万1000件で、上田さんは「必要性が高いのに利用が低い」と指摘。さらに対象者の定義が「判断能力が不十分な者」に加え「本事業の契約内容について判断し得る能力を有している」と定め、判断能力の必要性のあいまいさが問題だと、上田さんは訴えました。ニーズに対応できていない、利用に時間が掛かる、制約が多いといった課題も挙げていました。研修はいわき市権利擁護・成年後見センターが1月16日に主催しました。

※2
「あんしんサポート(いわき市社会福祉協議会ホームページ)」:http://www.iwaki-shakyo.com/soudan/jiritsu-shien.html

※3
「日常生活自立支援事業(厚生労働省ホームページ)」:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/chiiki-fukusi-yougo/index.html

【上田さんの講話記事】
「虐待対応」 2018年2月1日投稿:http://ymciwakikai.jp/blog-entry-395.html

「セルフネグレクトと介入拒否」 2018年3月2日投稿:http://ymciwakikai.jp/blog-entry-417.html