いわき市平地区の医療や福祉関係者らが交流を深める「平在宅療養多職種連携のつどい」が21日夜、同地区のいわき芸術文化交流館「アリオス」で開かれました。参加者約170人は、講演や地域包括ケアの取り組み発表を通し、「地域連携」や「多職種連携」について理解を深めました。懇親会では名刺交換する姿も多く見られ、「顔の見える関係」をつくっていました。
● 医療、介護、障がい福祉、行政関係者、民生委員ら集まる
この「つどい」は毎年1回開催され、今年で8回目。平地区で毎月第三木曜に開く「平在宅療養多職種連携の会」が始まった2015年よりも5年早く始まり、より広く関係者に参加を呼び掛けています。今回の「つどい」には、医師、歯科医、訪問看護師、薬剤師、作業療法士、理学療法士、介護支援専門員(ケアマネジャー)、訪問介護士ら医療・介護福祉関係者と、大学教授、民生委員、障がい者支援センター、保健福祉センター、市、地域包括支援センター職員ら、合わせて約170人が集まりました。あんざいクリニック院長の安齋光昭医師が座長を務め、竹林貞吉記念クリニック院長の松田徹医師、NPO法人「地域福祉ネットワークいわき」の園部義博事務局長が講演。平地域包括支援センター職員の緑川しのぶさんと市地域包括ケア推進課の猪狩僚主査が、草野・赤井両地区での在宅療養劇の公演動画を公開し、地域連携の取り組みを発表しました。
● 在宅医療を支える連携
松田医師は「在宅医療を支える専門職間の連携について―いわきと前任地の比較から」と題して講演。「社会連携」「多職種連携」「組織内部連携」といった連携の形を説明した後、前任地の山形県での「連携以上、統合未満」の取り組み「日本海ヘルスケアネット(仮)」(※)を紹介しました。いわき市が抱える課題の救急搬送の遅さの話題では、当直医と職員の「連携」が改善に大切と主張。在宅緩和ケアを推進するため、病院医師と在宅医師の関係づくりや、グループ診療体制の構築、患者・家族・市民への啓発などが必要だと話しました。「難しいができなくはない」「気持ちのある組織、個人が集まった時に力になる」などと「連携」に向けた思いも語りました。
※ 「日本海ヘルスケアネット(仮)」とは:https://www.m3.com/open/iryoIshin/article/556694/
● 共生社会の実現へ 「我が事」「丸ごと」
「地域共生社会の実現に向けて」と題して講演した園部事務局長は、国が目指す地域共生の方針を解説。去年6月に発表され、子ども・お年寄り・障がい者らも含めた共生社会の実現をめざす「ニッポン一億総活躍プラン」を紹介した。その社会実現のために、地域課題を自分のことととらえ支え合う意識「我が事」と、介護や子育て、障がいなどを縦割りでなく一つと考える意識「丸ごと」が求められると説明。いわき市での取り組みでは、2年前から支え合いを促す住民主体型の活動が展開され、今年本格的に実施されていると報告。さらに、それぞれ「子ども」「生活困窮者」「お年寄り・障がい者」を専門にする、地区保健福祉センター、地区社会福祉協議会、地域包括支援センターの連携体制ができ、たとえ専門外の窓口に相談をしても担当につながるようになったと「丸ごと」の取り組みも紹介した。
● 在宅療養劇 「理解しやすかった」
地域包括ケアの取り組みでは緑川さんが、今年7、8月に草野、赤井の両地区で公演された劇を紹介。医療、介護福祉の職種でつくる劇団発起人の猪狩主査は、聞くだけの講演よりも目で見て理解できる啓発をしたいと「平在宅療養多職種連携の会」で声掛けした旗揚げの経緯を説明し、公演の動画を公開しました。公演後の反響について、草野地区の10方部民生委員児童委員の西山和子会長は「『見てきたことを家族にしゃべった』と言った住民もいた」「理解しやすかった」と述べました。赤井地区の区長協議会の鈴木幹久方部長は、活発になっている同地区の活動経緯を説明し、「今後もネットワークを広げ、よりよい地域をつくりたい」と意気込みを語りました。
【平在宅療養多職種連携の会記事】
https://iwakikai.jp/blog/?c=%e5%b9%b3%e5%9c%a8%e5%ae%85%e7%99%82%e9%a4%8a%e5%a4%9a%e8%81%b7%e7%a8%ae%e9%80%a3%e6%90%ba%e3%81%ae%e4%bc%9a