絵を描くのは生きがい―。85歳の今泉木主(もとたか)さん=いわき市勿来地区=が7日午前9時から、茨城県北茨城市の天心記念五浦美術館で絵画展を開きます。本格的に始めてからの絵画歴は60年余りで、個展入選の経験もある腕前。入退院を繰り返したり、妻を亡くした辛い時期もありましたが、大好きな絵に打ち込んで元気に。86歳の誕生日に開幕を合わせた今回の個展を目標に、1年前から準備してきた今泉さんは「自分の内にある表現、意欲、情熱が伝わってほしい」と意気込んでいます。絵画展は16日まで。
● 独学で腕を磨く
小学生のころから絵が好きで、毎日放課後に絵を描いていたという今泉さん。通信教育で勉強した以外は、独学で腕を磨いてきました。勤務した会社にあった美術部で活動したほか、近所の喫茶店仲間とスケッチ旅行に出掛けるなどして絵を楽しんできました。1976(昭和五十一)年に県総合美術展に出品以後、数々の賞を受賞。新世紀美術協会、福島県美術協会、いわき美術協会の元会員です。「若いころは早起きして仕事前に、帰宅してからは夜遅くまで毎日描いていた」と今泉さん。「数えた事がないけど200枚ぐらいあるかな」という油絵は、漁港や工場、自然の風景をモチーフにしています。
● 一枚一枚に思い出
スケッチ旅行には長野県の上高地や乗鞍(のりくら)高原、山形県の最上川、宮城県の鳴子峡などに出掛けて筆を走らせ、一枚一枚に思い出があるといいます。今泉さんは「旅先のいろんな出会いが頭をよぎる」と懐かしみます。絵が好きだった奥さんと一緒に絵画展や旅行に出掛けた思い出も。表現に悩んで考え込むと、奥さんから「悩むほど作品が良くなるよ」と励まされたといいます。その奥さんを4年前に亡くし、体調を崩して入退院を繰り返した辛い時期もありましたが、「個展を開く」と目標を持って絵に向き合ってからは入院もなく良好に。「好きな事をやるのが元気のひけつ」と力強く語ります。
● 会場には約100点を展示
現在描いている絵の題材は約10年前に行った栃木県の足尾銅山。自宅のアトリエで寝る前にキャンバスに向かってイメージし、朝起きてから体に無理ない程度に筆を走らせています。会場には100号を超す大作を含め約100点を展示。その絵の搬送や受付などの会場準備は長男や次男家族が協力。今泉さんは「家族のお陰で実現できる」と感謝していました。会期中、来場者に絵の説明をするため今泉さんは体調を考慮しながら常駐します。
● 創作意欲に燃える
今年12月には近くの呉羽総合病院のロビーに作品を展示する予定も。絵画一筋に人生を歩んできた今泉さんは「絵を描けなくなったら終わり。今回の個展を励みに、介護生活でもコツコツとやっていきたい」と創作意欲を燃やしていました。
【今泉木主絵画展】
会期:2019年9月7日(土)~16日(月) ※9日は休館
時間:9:00~17:00(最終日は15:00まで)
会場:茨城県天心記念五浦美術館(茨城県北茨城市大津町椿2083)
入場料:無料
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