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投稿:2017年06月02日更新:2021年05月10日

医和生(いわき)会全体

66. 世界初のロボット治療機器を見学・職員、いわき病院に

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● 「歩ける」感覚を体感
HALは、患者が体を動かそうとした時に、脳から神経を通じて筋肉に送られる指令信号を、皮膚の表面から生体電位信号として読み取ることで、意思に従った動作を実現します。その繰り返しにより、脳神経系のつながりが強化・調整され、身体機能の改善・再生が促進されます。2016年に公的医療保険が適用され、対象は以下の表(※1)の8疾患です。いわき病院では2016年夏にHAL導入の検討チームを発足。勉強会や安全講習会を経てことし4月、「HAL®医療用下肢タイプ」を導入しました。

※1
HALの保険 (640x433)

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● 歩行速度、距離、ともに改善
医和生会の医療・介護統括本部の吉田剛本部長に加え、介護支援専門員(ケアマネジャー)、理学療法士、訪問看護師ら計6人が、5月23日に訪問。リハビリ見学の前に、いわき病院理学療法士長の阿部透さんから取り組みをうかがいました。いわき病院ではこれまで、HALの利用者は2人。最初に利用した患者は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)を患い、歩行器で歩ける50代男性。10メートルを25歩で23秒、2分間歩行を42メートル記録したその男性は、HALで5週間に9回(1回約1時間)治療した結果、10メートルを18歩で12秒、2分間を91メートル歩けるまでに改善(※2)。男性は「立ち上がるのが楽になった」と話したといいます。現在は一時帰宅中で、6月から入院して治療を継続するそうです。2人目のHAL利用者は、歩行器で歩ける筋ジストロフィーの50代女性。10メートルを36歩で16秒、2分間に50メートル歩ける状態で、5月22日現在、HALでのリハビリ訓練を受けている最中。1週間3回のペースで治療しているといいます。

※2
HAL事例 (640x471)

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● 歩行補助器に体をつるしHAL装着
医和生会職員は、2人目のHAL利用者となるその女性の治療を見学。女性は、生体電位信号を検出するパットを下半身の関節部分などに張り付けた後、赤ん坊を背負う「おんぶ紐」のようなサポート具をはいて、特殊な歩行補助器に体をつるし、立った状態で14キロのHALを装着します。理学療法士2人が介助を務めます。女性の足が床に付いているか、つるす高さなどを慎重に確認して歩行が始まりました。歩行中は、介助者の1人がHALの背後に内蔵された筋電計を確認しながら女性を支え後ろから、後ろ向きで歩くもう一人が歩行補助器の進行方向から、それぞれ女性の歩き方や体調をチェックします。

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● 休みながら40分間歩行
「スピードはどうですか?」「右足にもっと体重を乗せるように」などと声を掛けられ、女性は足を動かします。ひざが曲がる時と曲がらない時があるものの、しっかりと足を前に運んでいます。額からは汗が流れ、疲れた際には無理をせず立ち止まります。リハビリ室を出て廊下を往復し、突き当たりでいすに座って休憩。介助者は血圧などを測定し体調をチェックします。女性にHALの感想を尋ねると「疲れる。重い感じがする。休憩すれば治まるけど、すごい大変」と話すも、効果については「感じられる」と即答。この日約40分間で300メートル弱歩きました。見学の前には、阿部さんからHALを導入するまでの経緯や、コスト、診療点数などについて話してくださりました。HALの利用について、阿部さんは「何カ月かおきにやらないと歩行能力が落ちてしまう」と、継続する重要性を語っていました。この度は、いわき病院関係者の皆さまには大変お世話になりました。お忙しいところ見学のご協力、誠にありがとうございました。