いわき市平地区の医療・福祉関係者が集う「平在宅療養多職種連携の会」が19日夜、同地区の山内クリニック会議室で開かれました。お年寄りの運転免許をテーマにした講話を通し、出席者は、お年寄りが自主返納の大切さを理解する一方で、車社会の地方では日常生活に問題が生じるジレンマなどについて考えました。
● 約40人が出席
この日は、医師、薬剤師、介護支援専門員(ケアマネジャー)、理学療法士、大学教授、市職員、平地域包括支援センター職員ら約40人が出席。医師不足解消のため温かい手料理でおもてなしする交流会「いわきの医師を応援するお姉さんの会」の宮野由美子代表も見学に訪れました。あんざいクリニックの安齋光昭院長が「認知症高齢者の運転免許」と題して講話し、平地域包括支援センターの緑川しのぶさんが先月「アリオス」で開催された「平在宅療養多職種連携のつどい」のアンケート結果を報告しました。
● 地方のお年寄り 「運転できないと非常に困る」
安齋院長は、「認知症」と判明したら運転免許が取り消しになる道路交通法を説明。福島県の自主返納率は全国40番目で、東京、大阪などの交通機関が発達している都市部は高いと解説しました。3市町のお年寄りに尋ねた認知症者の運転免許制限に関するアンケート調査で、3市町とも90%近くが「認知症者は運転をやめるべき」と思う一方、高齢化率の高い2市町の80%は「自分が運転できないと日常生活が非常に困る」と回答。運転の目的は、買い物や通院が多く、自動車運転が日常生活に欠かせないという社会的背景を説明しました。免許返納に成功した例では、自転車やタクシー・有償ボランティアなどの代替手段が挙げられました。ですが、ケアマネジャーが自主返納を勧めるには「業務範囲を逸脱していないか」、買い物の代わりに宅配を勧めるには「外出の機会が減るのでは」などの葛藤もあるだろうと話します。車社会で生活するお年寄りを地域で支えるため、引きこもりを防いで社会生活の支援をし、自主返納後の心のケア、代替の交通手段、生きがいを一緒に考える大切さを訴えました。
↑「平在宅療養多職種連携のつどい」のアンケート結果を報告した緑川さん
● 「連携のつどい」 時間に課題
「平在宅療養多職種連携のつどい」のアンケート報告では、講演会があった「つどい」の参加者数が185人。その後の懇親会の参加者は117人で、去年の70人から大きく増えました。テーマ、内容、会場は、それぞれ84%、86%、77%が「良かった」と回答。時間については、予定時間内に終わらず内容量とプログラム時間についての意見が目立ち、緑川さんは「来年の課題」と話しました。
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