● 赤井地区地域ケア会議とは
いわき市は2年前、超高齢化社会に備え、住民が支え合う地域づくりを議論するために「市地域ケア会議」を設置。「個別ケア」「小地域ケア」「中地域ケア」、全市レベルの「市地域包括ケア推進」の計4会議で構成。その中でも赤井地区地域ケア会議は特別で、地区の大きさから「小地域」と「中地域」の間に位置する基幹型の会議になります。
● お年寄り市民の健康や社会参加の状況は?
会議には、同地区の区長、民生委員、消防団長、介護支援専門員、デイサービス職員ら約40人が出席。市平地区保健福祉センターの渡辺修主任主査が、「高齢福祉の問題と実体について」と題し、いわき市の急速に進む高齢化率などを紹介。主に介護認定を受けていない65歳以上の市民9800人に健康や社会参加についてアンケート調査した「介護予防・日常生活圏域ニーズ調査」の結果を報告。今年3月7~24日に郵送法で市が実施し、6658人から回答を得たデータです。回答したお年寄りの21.2%が閉じこもり傾向があり、75~79歳世代から顕著に。就労状況は、70%のお年寄りが働いていないが、そのうち15.3%が働きたいという意識も分かりました。「家族や友人以外の何かあった時の相談相手」は、38.7%がいないと答えて最多でした。
● 積極的に住民が支え合う赤井地区
住民が支え合っている赤井地区での活動報告は、平地域包括支援センターの職員が紹介。去年初めて実施した同地区の地域ケア会議で、課題が「医療機関がない」「顔の見える関係性の維持」「多世代交流」「つどいの場をつくりたい」だったと振り返りました。生活習慣病予防などの文化講演会や、子どもからお年寄りまで触れ合う三世代交流会、夏休みの朝に児童の勉強会などを開いたと説明。先月の赤井1区の小地域ケア会議の内容も民生委員から報告されました。
● 「家で暮らせます!」 劇で分かりやすく
介護サービスを使う流れも交える在宅療養の劇は、「平在宅療養多職種連携の会」のメンバーと住民が出演。医師、薬剤師、ケアマネジャー、民生委員、歯科衛生士、シルバーリハビリ体操指導士、デイサービスや平地域包括支援センター職員ら10人が演じました。脳梗塞で退院したばかりの夫と介護に限界を感じる妻が、医療や介護の専門職の連携したケアサポートを受けて、自宅で安心して生活できることを紹介するストーリー。メーンの場面は、薬剤師、ケアマネジャー、歯科衛生士、デイサービスの相談員、民生委員が自宅に集まり、夫婦と一緒に介護方法を相談し合う「担当者会議」です。薬剤師は、薬管理ができる訪問サービスや飲み忘れを防ぐお薬カレンダーなどを紹介します。歯科衛生士は夫の口腔をチェックし、デイサービスと連携して口腔ケアに取り組むことを確認。囲碁クラブとサロンにそれぞれ復帰するのが目標という夫妻に、ケアマネジャーは「行けるように頑張りましょう」と激励しました。劇の合間に、医師が脳梗塞の予防などを講話し、最後には「劇のように、さまざまな専門職の連携したケアにより、退院しても自宅で最期まで暮らせます」と説明。夫婦がシルバーリハビリ体操に参加するという設定で、劇を見ている出席者も一緒に体を動かしました。
● 民生委員「もっと相談してほしい」
情報共有では、参加者が感想を述べ合いました。赤井駐在所の警察署員は、個人的直感と前置きし「交流のない孤立するお年寄りは、万引きなど犯罪を犯しやすいように感じる」とし、地域住民の結びつきの大切さを主張。民生委員は、「介護予防・日常生活圏域ニーズ調査」の結果を踏まえ、「『相談する相手』の項目で民生委員が8%と低く残念。パーセンテージを上げたい」と、訪問時に相談してほしいと呼び掛けました。デイサービス職員は「赤井にはさまざまなデイサービスがあるが、それぞれタイプが異なる。連携して地域を支えたい」と述べました。
【関連情報】
「介護予防・日常生活圏域ニーズ調査」の結果の詳細です。
http://www.city.iwaki.lg.jp/www/contents/1001000000191/simple/2901giji_toujitsu.pdf