● 17世紀中ごろから伝わる鎮魂の舞「じゃんがら」
いわき市教育委員会が発行する「いわき市の文化財」によると、じゃんがら念仏踊りは市内一円に分布する市民にとって最も親しみのある芸能。17世紀中ごろ、磐城平藩の郡奉行を務めた沢村勘兵衛の墓前で鎮魂のために舞ったのが始まりとされます。現代ではお盆の時期に新盆の家を踊って供養して回りますが、本来は各地の祭りなどにも奉納されていたようです。現在は市内に約90の伝承団体があるそうです。
● メンバー14人が受け継ぎけいこ
「平窪伝統芸能クラブ」は約30年前、平四小でのクラブ活動から独立して誕生しました。地元の青年会と保存会のメンバーが中心となって指導します。毎年6、7月の毎週火曜と金曜にけいこ。じゃんがらだけではなく神楽舞にも挑戦しています。夏休みの時期を含めた7月末から9月上旬までは、イベントや福祉施設での公演に大忙し。現在のメンバーは小学生14人です。
● 伝統の舞に盛大な拍手
「いきいきはうす」の夏祭りでの公演では、ちょうちん持ち、太鼓3人、鐘8人の計12人が登場。ちょうちん持ちと太鼓を8人が囲み、鐘を打ち鳴らしながら後ずさりして回ります。「やーれ、やーれ、やーれ、やーれ」という掛け声、「チャンカ、チャンカ」と響く鐘、両腕を大胆に回して打ち鳴らす太鼓。いわき市民が夏の訪れを感じる伝統の念仏踊りに、ご利用者様は大きな拍手を送っていました。メンバーの代表は「今日は見ていただき、ありがとうございました」とあいさつし、ご利用者様から「センキュー」という声が飛んでいました。
● 練習では卒業生も応援に
練習には、クラブを卒業した中学生や高校生も指導に駆けつけるそうで、その伝統の踊りは引き継がれています。親代表の藤田早苗さんは「公演ではおじいちゃん、おばあちゃんがリズムに乗ったり、涙を流したりすることもあります。子どもたちは地域で披露できて、やりがいを感じていると思う」と話します。今年も子どもたちがいわき伝統の夏を彩ります。