医療・福祉分野の人材定着・育成を目的にしたセミナー「いわき市の障がい福祉と医療」がこのほど、いわき市文化センターで開かれました。医療、障がい福祉、行政の関係者6人が講師を務める幅広いプログラム。障がい者雇用に積極的な「マルトグループホールディングス」(本社・勿来地区)の取締役本部長でもある「いわき市障がい者職親会」の石山伯夫会長は、職親会の活動や「マルト」での取り組みを紹介しました。
● 幅広いテーマ 6人が講話
セミナーはいわき地区障がい者福祉連絡協議会の研修委員会が10月2日に主催。障がい福祉事業所の職員、教職員、障がいのある方のご家族ら99人が参加しました。プログラムは石山会長が「障がいがある方の『はたらく』を支える」、いわき福音協会はまなす荘の志賀道子所長が「入所施設の現場から」、いわき基幹相談支援センターの木村活昭さんが「いわき市の相談支援について」、市障がい福祉課の長谷川政宣課長が「行政説明 いわき市の福祉」、NPO法人わくわくネットいわきの新妻寿雄理事長が「折れない支援 発達障がいのある方の支援」、いわき市医師会の木村守和会長が「いわき市の医療」と題し、それぞれ50分ずつ講話しました。
● 「障がい者は貴重な人材」
石山会長は、学校の進路担当者に声を掛ければ簡単に就職希望者が集まった昔と異なり、今ではほとんど集まらないという深刻な人材難に触れ「障がい者は貴重な人材」と訴えます。2018年の障がい者実雇用率で、いわき市は2.18%で、県の2.04%、国の2.05%よりも高く、年々上昇しているデータも紹介。就労支援の機関、支援学校、行政など障がい者雇用をサポートするネットワークが充実しているので、介入しにくい家庭環境の問題を抱えた障がい従業員がいても踏み込んで支えてもらえるという。支援学校の教諭は卒業生と連絡を取り続け寄り添っているので、問題発生の際は電話相談すればすぐ解決できる事もあるといいます。
● 「職親会」の活動も紹介
障害者雇用促進法で、一定数の障がい者を雇わなければ一人分につき年間60万円を納付しなければならず、石山会長はその納付金や助成金を研修や職業訓練費に充てれば、障がい者を雇用しても経済的な損失はないとアドバイスしました。行政機関と連携して障がい者雇用の改善に努めようと24年前に誕生した「いわき市障がい者職親会」(※)の活動も紹介。一般企業や福祉施設、学校、個人が会員で、毎月1回の勉強会、年1回の就労支援セミナー、視察などを行っていると説明しました。「マルト」のスーパーの例で、全従業員4800人の中でナンバーワンの呼び込みスキルを持つのが障がい者で、ファンができるほどお客の心をつかんで集客しているといいます。石山会長は働きたいけど仕事がない障がい者がいる一方、企業は人材不足を嘆いている社会状況に触れながら「雇用率は確実に上がっている」と雇用を呼び掛け。環境さえ整えば障がい者は健常者より離職しない強みも挙げていました。
※ 「いわき市障がい者職親会のフェイスブックページ」
https://www.facebook.com/syokuoyakai/
【関連情報】
マルトの障害者雇用事例(2011年度・高齢・障害・求職者雇用支援機構ホームページより):https://www.ref.jeed.or.jp/23/23071.html
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