いわき市好間地区の多機能型重症心身障がい児(重心児)デイサービス「どりーむず」が台風19号で浸水被害に見舞われ、16日から当法人医和生会の複合施設「いきいきはうす」内の「きっずるーむ」で臨時運営しています。備品が水没する床上浸水で運営不可能に陥り、台風直後はお先真っ暗に。その事態を知った当法人は場所を協力し、市も緊急事態だと運営を許可。県外から“応援団”も駆け付けて一気に清掃と引っ越し作業を終え、早期に再開できました。甚大な浸水被害を受けた地区の障がい児を優先して預かり、ご家族が家屋清掃に集中できるようサポート。「どりーむず」を運営するNPO法人「ままはーと」の職員は地域や全国の仲間に感謝しながら「子どもを見守る事で、ご家族に『掃除を頑張って』と応援したい」と恩返ししています。
● 浸水で備品なども水没
台風19号で「どりーむず」の事務所は胸の高さまで浸水し、備品、電化製品、パソコンなど水没する被害に見舞われました。台風が去った13日朝から、職員や家族で清掃作業を開始。手におえない被害の大きさでしたが「一般社団法人全国重症児者デイサービス・ネットワーク」に加盟する山形、茨城両県、福島市の各施設の職員が駆け付けて応援。再開に向け片づけ作業を加速させました。ですが床下に泥が残りリフォーム工事が必要と判断。工事終了の見通しも立たず、しばらく再開できない絶望的事態を知った当法人が「きっずるーむ」の利用を協力し、市もそこでの緊急運営を許可。15日のみの臨時休業で翌日から再開できました。
● 子どもたちは元気
18日昼過ぎ、「きっずるーむ」には水害に遭った好間、平窪地区の障がい児4人が楽しそうに過ごしていました。入口を開けると、ホールを元気に動き回る子がにっこりと近寄ってきました。“王子”の愛称で愛される子はベッドで音楽を聴きながら笑顔。ホールは終始笑い声が上がっています。ここではシャワールームも使えるため、職員が工夫して子どもの髪を洗っていました。午前中に散歩を楽しんだ際には住民からみかんのおすそ分けをいただいたといい、職員はご近所の温かさを感じた様子。自宅が浸水し復旧に追われている笠間真紀理事長に代わって現場をまとめている加藤聡子副理事長は「被災したご家族は子どもを二階に寝かせたまま一階を掃除しなければならないので落ち着かない。預かれて『助かる』と喜ばれている」と話します。職員3人も浸水被害に遭い、残った職員がフォローしていました。
● 全国から救いの手
きょう19日朝には「全国重症児者デイサービス・ネットワーク」に加盟する愛知、埼玉両県の団体の4人が商用バン2台に乗って応援に到着(※)。道中、茨城県の団体から託された物も含めた支援物資と、全国の団体からの義援金を届けました。午前11時までに、ホールは掃除機、ヒーター、空気清浄器、布団、バギー(車いす)、子ども服などの支援物資でいっぱいに。その後は職員の被災した実家を訪ねて清掃。駆け付けた埼玉県のNPO法人「合(あい)」の松見實前理事長は「SOSが届いたので助けにきました。従業員も大変だと思います」と気遣い、全国のネットワーク団体からの善意と説明。愛知県の社会福祉法人「ふれ愛名古屋」の堀田泰経さんは「困ったらお互い様。名古屋は災害が少ないのでここでの経験を持ち帰って、職員と共有したい」と話していました。乗ってきたバンは「ままはーと」に貸し出し、電車で帰る予定です。
※ 出発前の様子が紹介されている全国重症児者デイサービス・ネットワークのフェイスブックページ:https://www.facebook.com/jyudaynet/
● 多くの支援に感謝
多くの支援を受け、加藤副理事長は「あらためてつながりの大事さを感じた」と感謝し「被災して生活のリズムが崩れるとストレスになる。子どもたちにはここでリラックスしてほしい」と前を向きました。
【関連情報】
<ままはーと>
ホームページ:http://mamaheart-iwaki.com/
<全国重症児者デイサービス・ネットワーク>
ホームページ:http://www.jyuday.net/
フェイスブックページ:https://www.facebook.com/jyudaynet/
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「どりーむずがオープン」 2018年2月19日投稿:https://iwakikai.jp/blog/1595/