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投稿:2019年11月15日更新:2021年05月11日

多職種連携・地域連携

708. 支援学校くぼた校と勿来高の交流が生んだ芽 勿来高OG、特別支援学校教諭を志す・くぼた校で教育実習

いわき支援学校くぼた校(※)と勿来高が併設して始まった生徒間交流を機に、特別支援学校の教諭を目指した勿来高の卒業生がいます。併設の初年度に3年生だったその卒業生は、仙台大教育学部4年生の平子絢菜さん。障がいがあるくぼた校生との活動で何も話し掛けられなかった平子さんは、その悔しさから特別支援教育を勉強しようと進学。このほど教育実習生としてくぼた校の教壇に立ち、18日まで積極的に生徒と触れ合って経験を積んでいます。何も話せずただ隣で同じ時間を過ごしただけの交流が生んだ芽は、将来障がいがある生徒を支えていく教育者として大きな花を咲かせようとしています。

 

※ くぼた校ホームページ:https://iwaki-sh.fcs.ed.jp/

勿来高ホームページ:https://nakoso-h.fcs.ed.jp/

 

研究授業で教壇に立つ平子さん=2019年11月13日、いわき支援学校くぼた校

 

● 高校時代 くぼた校生に何も話せなかった悔しさ

知的障がいの高校生が通うくぼた校が勿来高内に開校したのは2015(平成二十七)年4月。当時勿来高3年生だった平子さんは生徒会長を務めていました。くぼた校生と初めて交流したのは、生徒会役員で行ったペットボトルのキャップ洗い。障がいがある方と初めて接した平子さんは「関わり方が分からなかった」と、何も話し掛けられず悔しい思いをしたといいます。さらに、直接くぼた校生と触れ合う機会がなかった同級生からは悲しい偏見の声を耳にし、それに対して反論できず、障がいがある方への対応や知識不足を痛感したといいます。この悔しさで特別支援教育に興味が芽生え、特別支援学校の教諭を志しました。

 

 

● 研究授業に挑戦

くぼた校で18日まで2週間の教育実習を受ける平子さんは、13日に研究授業に挑戦。働く意義やマナーを指導する「職業科」の授業で、事前に学習指導案を考えて本番に挑みました。翌週に産業現場の実習を控えている高等部2年生の5人に授業。平子さんは「正しい身だしなみを知ろう!」「相手の顔をみてあいさつや受け答えをしよう!」と板書し、生徒に目標を伝えます。サポートする教諭にわざと乱れた服装で登場させて興味を引きつけ、視覚的に身だしなみを確認させる工夫も。ペアでの身だしなみ確認や、代表生徒による現場実習を想定したマナー訓練も盛り込むなど、試行錯誤した指導プランの成果を発揮しました。

 

サポートする教諭にわざと乱れた服装で登場させ、生徒に身だしなみを確認させる平子さん(右)

 

● 一人一人の特徴に合わせて指導

生徒の個性はさまざま。平子さんの言葉をすぐに復唱する生徒や、集中力が途切れる生徒、理解力の優れた生徒も。平子さんは一人一人の特徴に合わせて接し、話すのが苦手な生徒にはゆっくり待って答えを引き出します。乱れた服装で登場した教諭に「寒い」と答えた生徒の意図に気付くと「ズボンのすそが短いから『寒い』と言ったのかな」と優しくフォロー。「作業が終わりました」のあいさつの話題で「『お仕事中すみません』も最初に言った方がいい」と考えを発表した生徒には「素晴らしい!」と拍手でほめて自信を付けさせます。緊張を感じさせず、口調はゆっくりハキハキし、堂々と教壇に立っていました。

 

 

 

 

● 4年前の悔しさから大きく成長

授業後、NPO法人勿来まちづくりサポートセンターによる植栽活動の一環で、くぼた校の全校生と勿来高2年生が地元住民と一緒に交流。くぼた校生と勿来高生が交互に並び、商店街に飾るプランター100個にビオラを植えたりチューリップの球根を埋めます。くぼた校生が隣の勿来高生に話し掛け、教諭が「話したいみたいですよ」と会話をアシストする場面も。ですがその勿来高生はかつての平子さんのように、何も話せず固まった様子。それでも一緒に花を植え、同じ時間を共有していました。大学のボランティアで障がいがある方と触れ合っているという平子さんは気さくで、くぼた校の生徒一人一人に気軽に会話。「楽しい」と笑顔を見せ、4年前の悔しさから大きな成長を見せていました。

 

生徒に話し掛ける平子さん

 

 

● 「一緒に成長していける先生に」

併設当初の両校の交流は、勿来高側は生徒会役員だけだったと平子さんは思い返します。現在では運動会、お茶会、くぼた校祭、製品作り、ごみ拾いなど多彩な交流が盛りだくさん。両校の全校生が触れ合える機会が増え、平子さんは喜んでいます。「生徒に『障がいがあるから無理』と決めさせたくない。可能性を伸ばして、一緒に成長していける先生になりたい」。将来の特別支援教育を担う卵は、そう力強く目標を語っていました。

 

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「勿来高生とくぼた校生が清掃ボランティア」 2019年10月2日投稿:https://iwakikai.jp/blog/2420/

「平支援学校と平四小の長年にわたる交流」 2019年2月22日投稿:https://iwakikai.jp/blog/1678/