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投稿:2017年09月27日更新:2021年05月15日

多職種連携・地域連携

149. 「山本雄士ゼミ」 いわきで白熱教室・「医師不足解消策」を議論

大学でも病院でも勉強できない医療を学ぶ東京都の「山本雄士ゼミ」の生徒が23、24の両日、いわき市を訪問して白熱教室を繰り広げました。サッカークラブチーム「いわきFC」や病院を巡るフィールドワーク、市医師会、行政職員らを交えたグループディスカッションに挑みました。訪問前には「いわき」について事前勉強を積んだゼミ生は、訪問中も宿舎で深夜まで議論を重ねるほどの本気モード。「いわきの医師不足の解決策」を全力で考え、発表ではいわきの足りない点を遠慮なく投げ掛け、解決策を提案しました。いわきの医療、行政関係者と医師の卵が熱い議論を交わし、交流を深めました。

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↑「山本雄士ゼミ」を主宰する山本さん

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● 「医学生の将来への閉塞感」打ち破ろうと発足
「山本雄士ゼミ」を主宰する医師の山本雄士さんは、ヘルスケアサービスの開発を支援する会社「ミナケア」を運営。2007年に米・ハーバード大ビジネススクールでMBAを取得し、医療のみならずビジネスキャリアも積まれています。「医学生の将来への閉塞感を感じていた」という山本さんは2011年4月、このゼミを本格的にスタート。医学生は医師や研究者しかなれないのではなく、もっと幅広い可能性があることに気付いてほしいとゼミを立ち上げました。ゼミは毎月1回、都内で開催。医学生に限らず誰でも参加でき、これまで全国各地ののべ3000~4000人が受講しました。市内には卒業生もおり、市内で医療ICTサービスの開発などする会社を立ち上げた小柳正和さんや、常磐病院にも卒業生の医師がいます。

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↑ゼミ生はいわきの郷土料理も堪能

● 訪問中も深夜3時まで議論
高知県や京都府などからも訪れた医学部生と研修医のゼミ生有志20人が来市。23日は、いわきFCのクラブハウスで昼食を取り見学。磐城共立病院では見学とセミナーを受けた後、東日本大震災で津波を受けた薄磯・豊間地区の被災エリアを巡りました。小名浜地区の宿舎での懇親会では市民らと交流した後、深夜3時まで翌日のグループワークの準備。翌日は、いわき医師会館に会場を移し、山本さんの講演を受け、グループワークに挑みました。昼食は、県栄養士会いわき支部のメンバーが腕を振るったいわきの味覚を堪能しました。

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● 「医師不足解消」 医師や行政職員らとディスカッション
24日のグループディスカッションでは、ゼミ生は市内の医師や病院事務、市職員ら24人(※)と合流し5グループを編成。テーマは「いわき市の医師不足に対する解決策の提示」。前日のフィールドワークでの見聞を生かし、具体的な解決策を考えました。あるグループのゼミ生は、いわきFCで感じたことを踏まえ「スポーツドクターを育成するまちづくり」を提案。スポーツドクターを増やし、介護予防や健康づくりのためにまちへ出る活動も活発化させるとし、市出身でいわきFCのスポーツドクター・斎田良知医師をキーパーソンに展開させたいと訴えました。市側のメンバーからは「介護予防や健康づくりをするのは医師でないといけないのか?」「スポーツ選手をケアしたいという医師に、介護予防をしてもらえるか」などの厳しい意見も。議論を重ねるうちに「スポーツドクターのまちにするのは、医師を集めるための手段で目的ではない」ということを確認。さらに議論を深めていました。


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● 「『いわきの医療レベルは低くない』は、行きたくなる魅力ではない」
発表では、あるグループは「いわき市の人は見栄を張っているように見えた」「『いわきの医療レベルは低くない』というのは、行きたくなる魅力ではない。当然の事」と主張。勧誘争いが激しい若手医師ではなく、早期退職などを考えている50代医師をターゲットにすべきと、競争相手のいない市場「ブルーオーシャン」を狙うビジネス思考も披露されました。そのほか、「ワークライフバランス」の重要性や、「インターネットで出ない情報は存在していないのと同じ」と情報発信の大切さを訴えるなど、若者の視点で主張していました。山本さんは制限時間をオーバーしたグループにはプレゼンテーションの構成を注意。医師不足解消のために、誰に何をさせるべきか、具体的に提案するよう促しました。

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● 市医師会長ら「素晴らしいアイデア」と賛辞
感想では、市医師会の長谷川徳男会長や市病院協議会の比佐臣一事務局長が「素晴らしいアイデアだった」と賛辞。山本さんは、あまりに直球な生徒の意見に冷や冷やした場面も振り返りつつ、「現場でフェイス・トゥー・フェイスで話し合えたのは、学生にとって貴重な体験。これ以上にない学びの機会だった」と、準備や温かくディスカッションに協力してくれた方々に感謝を述べました。

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● 自分の可能性広げる 「さまざまな現場に飛び込みたい」
ゼミ長の横浜市立大医学部生の中安優奈さんは「事前準備をしたが、現場を見ないと分からないことも多かった」と、資料から得る情報と現場のギャップを肌で感じた様子。地域医療だけでなくグローバルな仕事にも興味があるという中安さんは、自分の可能性をどんどん広げていきたいとし「先入観を持たず、さまざまな現場に飛び込みたい」と目を輝かせていました。

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↑ゼミ生に賛辞を送る市医師会の長谷川会長(左)

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↑最後学生からコメントを求められ、ゼミ生にエールを送った発起人の市地域包括ケア推進課の猪狩主査(左)とゼミ卒業生の小柳さん

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● 「生徒に現場で学んでほしい」
「山本ゼミ」に来市を依頼したのは市地域包括ケア推進課の猪狩僚主査。医師不足が喫緊の課題のいわき市で、医学生の声が聞け、地域全体で見た医療マネジメントを考えるきっかけになるのではと企画。「山本ゼミ」卒業生の小柳さんの縁もあり、山本さんに提案。「医療はまちづくりと同じ。これからの医療は何か、生徒に現場で学んでほしい」と考える山本さんは、「山本ゼミ」初のフィールドワークとなるその案を引き受けました。市地域医療介護室が主催しました。

↓以下の写真5枚は、ゼミ生が来市する前に取ったアンケート結果。問いは「いわきで医師として働きたいか」。繰り返し、来市する前のアンケート結果です。

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