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投稿:2017年10月04日更新:2019年12月03日

156. 地域共生へ「子育て」「地域創生」「障がい」も・市地域包括ケア推進会議

本年度2回目のいわき市地域包括ケア推進会議が3日夜、市文化センターで開かれ、市こどもみらい課と市創生推進課の両課長、重症心身障がい児家族でつくるNPO法人の理事長が取り組みを発表しました。これまで医療・介護福祉中心だった話し合いの場に、「子育て」「地域創生」「障がい」分野の関係者と委員らが情報交換。縦割りをなくし地域課題を全体で共有する「地域共生社会」の実現に向けて新たな一歩踏み出しました。

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● 委員24人、事務局は41人
医療・介護・予防・住まい・生活支援の発展へ住民が支え合う地域づくりをめざそうと、国は2015年4月、市町村の努力義務として「地域ケア会議」の設置を法制化。これを受けいわき市は同年、「個別ケア」「小地域ケア」「中地域ケア」「市地域包括ケア推進」の計4会議でつくる「いわき市地域ケア会議」を設置(※1)。今回の市地域包括ケア推進会議は、市全域の視点で議論します。委員は24人(※2)で、事務局は医療・福祉関連の市職員、地区保健福祉センター、地域包括支援センターの職員ら計41人。前回の会議で、人口流出に関わる「若い世代への働き掛け」や「障がい者や子どもも包括した話し合いを」などの意見が出たのを受け、今回その分野の関係者を招き意見交換が行われました。傍聴席にも数人の姿が見られました。

※1. 大きく3層構造、4会議からなる「いわき市地域ケア会議」
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※2.
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↑子育て分野で語る市こどもみらい課の藁谷課長(右)

● 子育て分野も「中地域ケア会議」との連結検討へ
こどもみらい課の藁谷嘉人課長は、今夏始まった出産・子育て総合支援事業「いわきネウボラ」を説明。出産・子育て総合支援窓口の設置や、妊娠・産前後・子育ての三期にわたる支援プランの作成、母子保健コンシェルジュの面接などを紹介しました。地域住民、NPO法人、医療機関、関係団体などと子育て支援を共創する「地域との連携体制の構築」も事業の柱の一つで、今後は「中地域ケア会議」との連結を検討すると明らかにしました。さらに、始まったばかりの「ネウボラ」をより地域で認識されるよう啓発していきたいと話しました。委員からは「『ネウボラ』には、公募で決めた親しみやすい『おやCoCo(ココ)』という愛称がある。もっと多用して定着させてほしい」「貧困世帯では妊娠したことを不安に思う人もおり、『妊娠SOS』という相談窓口を持つ自治体もある。そういった取り組みも、もっと表に出してほしい」などの意見が出ました。

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↑「地域創生」について語る市創生推進課の津田課長

● 課題と社会資源を共有し公民連携へ
「地域創生」については、創生推進課の津田一浩課長が説明。いわき市の人口と高齢化率では、2015年に人口約35万人だったのが45年後には半分以下の約16万人に減少、2050年に生産年齢人口割合と高齢化率が逆転するという予測データを紹介しました。さらに、高校を卒業する世代の市外流失人数が、福島、郡山両市と比較して2倍ほど多い約4500人におよび、2015年には市内男性の4人に1人が生涯未婚という数値も話しました。そこで、「いわき創生」の取り組みを紹介。結婚、出産、医療人材などを促進する「人」、空き家活用、文化・スポーツのまちづくりなどを考える「地」、廃炉・ロボットイノベーション、バッテリー関連産業振興などの「産業」の3つのコンセプトを持つとし、計17の政策パッケージを説明。津田課長は、従来の行政主導型ではなく、「共創のまちづくり」をスローガンに、行政と住民が課題や社会資源を共有した公民連携を目指すと話しました。委員は「いわきには誇れる歴史があるのに伝えていない。それを出さないとまちは衰退する」と誇りがないことが人口流出につながると意見。「小中高校を通していわきのことを考えてもらうことが大切。授業で将来のいわきを議論させ、発表させてほしい」という意見もあった。

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↑障がい児育児の経験を語る「ままはーと」の笠間理事長

● 障がい児育児の孤独 市南部には重心児通所施設がない
NPO法人「ままはーと」の笠間真紀理事長は、自身も重症心身障がい児を持ちます。その経験を通し、親の不安やいわきの重心児通所施設の実情を訴えました。出産後、医師から子どもは10歳まで生きられないことを告げられ絶望します。市内の同じ境遇の人を見つけようとインターネットで検索しても、病院に尋ねても見つかりませんでした。退院しても医師も看護師もいないのに育てられるか、不安の毎日を過ごしたといいます。笠間理事長は「障がい児を育てる友だちがいない」「どこに何を相談していいかも分からない」という当時の孤独を振り返ります。そんな中、療育施設に通うようになって同じ境遇のママ友と出会い、家族会「スマイルリボン」を設立。障がい児育児で孤独な家族らの支えになっています。市内で重症心身障がい児が通える施設は2法人だけで、いずれも定員いっぱいの状態だといいます。市南部には施設がありません。さらに医療ケアの必要性が高い子は受け入れ日数が短いという課題も挙げました。委員からは「離れた施設に南部から通うだけでも命懸けだと聞く」との声。「高齢者向けショートステイを、障がい児でも利用できるシステムをつくれるか、考える時代になった。どうしたら実現できるかを明確にするのが大切」などの意見もあった。

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● 次回会議は12月
このほか、事務局の市地域包括ケア推進課の猪狩僚主査が、地域包括ケア推進に関する市の主な取り組みを紹介。9月に開設したポータルサイト「igoku(いごく)」での情報発信、「推進会議」の部会での活動、医師確保に向けた「地域医療セミナー」「山本雄士ゼミ×いわき市」などを説明しました。次回の「推進会議」は12月20日を予定。

【関連情報】
①いわき市地域包括ケア推進会議のこれまでの議事録。今回の会議も後日アップされると思われますので、議事録をご覧になってくださればほかの委員の意見もチェックできるかと思います。(市ホームページ):http://www.city.iwaki.lg.jp/www/contents/1001000000097/index.html

②いわきネウボラ(市ホームページ):http://www.city.iwaki.lg.jp/www/contents/1498807511507/index.html

③いわき市人口ビジョン・いわき創生総合戦略(市ホームページ):http://www.city.iwaki.lg.jp/www/contents/1455761465223/index.html

④NPO法人ままはーと:https://www.facebook.com/%E7%89%B9%E5%AE%9A%E9%9D%9E%E5%96%B6%E5%88%A9%E6%B4%BB%E5%8B%95%E6%B3%95%E4%BA%BA-%E3%81%BE%E3%81%BE%E3%81%AF%E3%83%BC%E3%81%A8-442896509410703/

⑤市地域包括ケア推進課が開設したポータルサイト「いごく」:https://igoku.jp/