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投稿:2017年10月14日更新:2021年05月11日

多職種連携・地域連携

163. 記者が見るいわきの「地域連携」・「日総研出版」大友主任にインタビュー

東北各地の地域連携や多職種連携の現場を取材して回っている「日総研出版」(仙台市)の主任・大友浩平さん(48)がこのほど、いわきの多職種連携の雰囲気や東北の地域連携の状況について話してくださいました。雑誌「地域連携 入退院と在宅支援」の編集にも携わっている大友さんは、いわき市平地区で先月開かれた「平在宅療養多職種連携のつどい」にも見学に訪れました。今月14日現在、今年はのべ60超の東北各地の集まりに参加。地域連携の現場をよく知る記者の目に、いわきの地域連携はどう映っているのかインタビューしました。

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↑「平在宅療養多職種連携のつどい」に参加した大友さん=2017年9月21日、いわき市のいわき芸術文化交流館「アリオス」

―いわき市平地区の「多職種連携」の雰囲気はいかがでしたか?

「平在宅療養多職種連携のつどい」に1回参加させていただいただけですが、その雰囲気はとてもよかったと思います。医師が多数参加されていたことも印象的でしたし、その医師の方々のフランクな姿勢がとても素晴らしいと思いました。こうした雰囲気ですと、様々な職種の方が自由にものが言えるので、関係構築もできやすく、連携も進みやすいと思います。

―東北地方で「多職種・地域連携」が進んでいる自治体は?

私が見る限り、山形県鶴岡市は東北地方の多職種連携のトップランナーと言えると思います。鶴岡も同様に多職種連携に関心を寄せる医師が多く、かつ鶴岡地区医師会の「地域医療連携室ほたる」など具体的なアクションも様々あります。鶴岡と言うと、「Net4U」(※)というICTを用いた連携システムも有名ですが、これが有効に機能するのも多職種のリアルな連携ができていればこそと思います。現在、鶴岡の連携は専門職同士から他業種や一般市民を巻き込んだ「社会連携」へと進化しており、その展開にも注目しているところです。

※Net4U:http://net-4u.jp/

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↑「平在宅療養多職種連携の会」の山内俊明会長(山内クリニック院長)と談笑する大友さん

―華々しく連携をスタートさせても続かない自治体もあると聞きました。その原因は?

わが仙台市にもそのような部分が見え隠れし他人事ではないのですが、あちこちの取り組みを見ていて感じるのは、立ち上げることと続けることでは異なる力が必要なのではないかということです。立ち上げる際には勢いがありますが、その勢いがずっと続くとは限りません。立ち上げることは「瞬発力」、続けることは「持久力」だと思います。一つ言えるのは、主催する側も参加する側も楽しんでやっているところは続いていることが多いです。逆に、義務感でやっていたり押し付けられてやっていたりするとなかなか続かないこともあるように思います。あとは、その時々で自分たちのテーマが何か絶えず見つけられているところは続いているように思います。

―多職種・地域連携を推進させるために必要な要素は?

多職種連携が進んでいると感じるところには、必ずキーパーソンがいます。キーパーソンは必ずしも偉い人や有名な人ということではなく、人と関係をつくるのが上手な人、もっと言えば、人を巻き込んでいくことが上手な人であることが多いと思います。もう一つ大事なのは関係をつくる、連携をする、そのための「場」があることです。「多食酒連携」というステキな言葉を発明したのは秋田の医師ですが、まさに飲み食いしながら語り合うというのは、連携を進める重要な場の一つだと感じます。

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↑「平在宅療養多職種連携のつどい」の懇親会

―いわき市は広域なのが特徴です。ほかの広域な自治体ではどのような連携が行われていますか?

先ほど例に挙げた山形県鶴岡市は、今やいわき市よりも大きい面積を持つ自治体となりました。ただ、もちろん、山間部まで含めて全域でくまなく連携が進んでいるということではなく、やはり市街地域が中心となって取り組みが進んでいて、そこに市内各所からも参加があるという形です。鶴岡市内での取り組みでいいなと思うのは「ふらっと会」と呼ばれる年1回の集まりで、鶴岡市内で活動している職種内連携、多職種連携の会が一堂に会して、活動の内容を報告し合ったり、交流を深め合ったりしています。こうした取り組みによって、自分たちの地域で他にどのような会が活動しているのか分かり、そこからまた新たな連携が始まったりといった相乗効果もあるようです。

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↑「平在宅療養多職種連携のつどい」の講演=2017年9月21日、いわき市のいわき芸術文化交流館「アリオス」

● おわりに
多職種・地域連携の進む山形県鶴岡市では、専門職の枠組みを超え一般市民をも巻き込んだ連携の段階に入っているというのはとても興味深い話でした。そのような活発的な連携を生み出すため、キーワードに人との関係づくりを促す「キーパーソン」と交流の「場」が挙げられました。雰囲気は良好と感じとってもらえたいわき市平地区。今後連携の機会が増え、市全体が盛り上がるよう医和生会も協力していきたいと思います。

【日総研出版の雑誌「地域連携 入退院と在宅支援」】
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