いわき市の社会福祉法人「いわきの里」の村井弘施設長(65)は、学校教育から介護の現場に転身した異色の経歴を持ちます。市内の小名浜一中などの校長も務め定年退職した後、地域密着型特別養護老人ホーム「ひなた」の開所に合わせて施設長に。村井施設長は「介護はずぶの素人」と謙そんしますが、健康運動指導士や介護予防指導士の資格も持ちます。保健体育教諭としての健康づくりの知識や、学校長時代の運営ノウハウを生かし、よりよい施設をつくろうと奮闘しています。
● 4小中学校の校長も歴任
村井施設長は保健体育の教諭、教頭を経て、小名浜一、植田、大野の3中学校、三阪小学校の各校長を歴任。市教育委員会や県教育庁いわき教育事務所での勤務経験も含めて教育一筋。2012(平成二十四)年3月に定年退職してから1年後、「県いわき海浜自然の家」で教育指導専門員としての勤務経験もあります。
● 健康運動指導士の資格取得 食育にも力
介護に興味を持ったのは1996(平成八)年ごろ。公益財団法人健康・体力づくり事業財団の健康運動指導士の資格を知り、研修で介護予防を学んだのがきっかけでした。同じ健康運動指導士から「いわき食介護研究会」(当時は歯科医師の市川文裕代表)を紹介され、そこでの勉強会を通して食と介護に理解を深めます。教育現場では市川代表とともに食育にも力を入れました。大野中でフランス料理シェフによる地産地消の調理実習を行ったり、地域で食育の講話も。村井施設長は「食介護研究会」で当法人の山内俊明理事長と出会います。法人グループのいわきの里が「ひなた」設立に伴い施設長を探していたところ、山内理事長から抜てき。「ひなた」開所の2015年から施設長として勤務しています。
↑「いわき食介護研究会」の市川代表とともに村井施設長が講演したいわき民報の記事(2004年10月4日付)。「思い出の講演」と村井施設長は今も机にはさんでいます
● 職員に「自分が『いわきの里』を創っていると自覚してほしい」
施設運営面では「学校長時代の経験が生きている」と村井施設長。ご利用者様へのケア向上には職員のモチベーションアップが欠かせないとし、やる気を起こさせるために率先して意見を聞き入れます。「ひなた」とともに施設管理する地域密着型特別養護老人ホーム「サンシャインよしま」では、2ユニットある2階の夜勤者は1人でしたが「慣れていないと1人は厳しい」という声を聞けば柔軟に改善。「『いわきの里まつり』に着るTシャツがほしい」と聞けば、美大卒の職員にデザインさせます。村井施設長は「声を出せば変わることを実感させたい。そしてここで勤務していることを自慢し、自分たちがいわきの里を創っていると自覚してほしい」と村井流スタッフマネジメントを語ります。「ひなた」と「サンシャインよしま」には朝夕足を運び、ご利用者様一人一人に手を握ってあいさつを交わします。現在は忙しくできませんが、かつては機能訓練の体操指導もしていました。「教育も介護も相手は人」と村井施設長。常に心を込めて、笑顔と優しさで接することを心掛けています。
● 教え子とのネットワークも活かし、ボランティア団体招く
村井施設長は「生徒とお年寄りの違いはあるが、家族、職員、地域を考えての運営方法は共通」と語ります。ご利用者様を盛り上げるためにボランティア団体を探す際は、教え子のネットワークも活かします。今年8月にはそのつてで「ひなた」に「下神谷子供じゃんがら」を招きました。教育畑で培った経験を生かし、介護施設の運営に生かす村井施設長。「施設をよりよくするためには人づくりが大切。職員が生きがいを持って勤務できるようにしたい」と奮闘しています。
【社会福祉法人いわきの里WEBサイト】http://iwakinosato.jp/
【いわきの里関連記事】
「やりたい事をかなえさせるケアの実現へ・ケアプロの取り組み」
<医和生会(いわきかい)の求人・採用情報>
医和生会は1年以内の新卒離職率0%!新卒フォロー面談や「若手ラボ」といった教育支援を通して、若手職員の定着につなげています。
https://iwakikai.jp/recruit/