いわき市平地区の医療・福祉関係者が集う「平在宅療養多職種連携の会」が16日夜、山内クリニック会議室で開かれました。歯科医師が、訪問歯科の取り組みについて発表。出席者の薬剤師や訪問看護師、介護施設の管理者から口腔ケアに関する質問や悩みも出て、職種の壁を越えた情報交換がありました。
● 2年前にスタートした「平在宅療養多職種連携の会」
高齢化に伴い医療の現場が病院から自宅や施設に移行している中、医師や歯科医、薬剤師、看護師、介護支援専門員(ケアマネジャー)などの専門職が連携して患者の生活を支える必要性が高まっています。そのためコミュニケーションを密にして生活支援も含めたケアを専門職同士で考えようと「平在宅療養多職種連携の会」が2015年に本格的にスタートしました。今回の出席者は、医師、歯科医、薬剤師、訪問看護師、歯科衛生士、平地域包括支援センター職員ら約30人。いわき泌尿器科の歯科医の小見憲夫さんが「行く歯医者―訪問歯科について」と題して講話しました。
● 「待つ歯科医」から「行く歯科医」に
小見さんは、70~74歳をピークに急速に低下する歯科受療率と、在宅医療サービス実施診療所1カ所当たりの訪問歯科診療件数が全国平均で月12.6件と低い状況を解説します。歯科訪問診療について、通院困難者のために歯科医師や歯科衛生士が自宅や施設などを訪問し、歯科治療や専門的口腔ケアを歯科医院とほぼ同様の治療で行う医療サービスと説明。歯が無くなるとそしゃく力が低下し食欲低下、脳の老化にもつながると話し、生活の質の向上のためにも口腔ケアは大切だと強調しました。移動する車や持ち運び用の医療道具をスライドで紹介。「高齢化社会で需要は多いと思うが、訪問歯科診療はあまり知られていないため依頼の数はあまり多くない。『待つ歯科医』から『行く歯科医』に変化し、多職種と連携して一緒にケアを考えていくことが大切」とまとめました。
● 口腔ケアを多職種で話し合い
質疑応答で、出席した薬剤師からそしゃくができなくなる薬の副作用について質問を受けた小見さんは、筋力低下を改善するリハビリの必要性を語りました。訪問看護師は、口くう乾燥症と思われる患者がいるといい、その症状について質問。小見さんは、触るだけで痛くなるその症状の特徴を説明し、対策としてだ液腺をマッサージして口をうるおすことが大事だとアドバイスしました。小規模多機能型介護施設の管理者は、利用者に口腔ケアを試みると怖がって拒否されるという悩みを共有。出席者の歯科衛生士が「口を大きく開かせず、口角から指を入れて脇に引っ張ると力が抜ける。それでも抵抗するようなら、手や肩からどんどん口に近づけて触るようにして慣れさせる」と助言しました。
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