いわき市内の3地域ごとに障がい児者の地域生活支援拠点の体制づくりが検討されようとしています。3地域のうち小名浜、勿来・田人の両地区でつくる南部地域が先陣を切り、このほど障がい児者支援事業所が集まった「ネットワーク会議」を勿来支所で初開催しました。参加した事業所職員は、介護者の入院などで障がい児者が一人になる場合を想定した「緊急時の対応策」をテーマに話し合いました。
● 「地域生活支援拠点」 2020年度末までに設置目標
国は2020年度末までに「地域生活支援拠点等(拠点)」を各市町村か各圏域に少なくとも1つ立ち上げるのを目標にし、いわき市は2016年度から検討を進めています。「拠点」とは、障がい児者の重度化や高齢化、親が亡くなった後に備えた地域での支援体制。具体的に①介護者の急な不在に備えた「緊急時の受け入れ・対応」②一人暮らしに向けた「体験の機会・場」③地域移行や自立に応える「相談」④人材の確保、養成、連携を意味する「専門性」⑤コーディネーターの配置といった「地域の体制づくり」の機能を構築します。
● いわき市では3地域で設置の方向
こうした障がい児者を支える地域づくりを考える「障がい児者支援事業所ネットワーク会議」が、2018年2月に小名浜地区で立ち上がったのを皮切りに、常磐、勿来・田人、内郷、平の飯野の4地区でも誕生。障がい福祉関連の事業所が課題や地域資源を共有して議論を重ねてきました。そこでの意見もくみ取って検討した「いわき市地域自立支援会議」(※1)は、「拠点」が一カ所では広域ないわき市をカバーするのが困難とし、将来的に3地域に分ける方向で考えています。そこで「ハイリスク想定者」が多く、短期入所といった緊急時対応事業所が少ない点などを踏まえ、南部地域(※2)は2月25日、3地域の中で先駆けて合同会議を開催しました。
※1
「いわき市地域自立支援会議とは(いわき市ホームページ)」：http://www.city.iwaki.lg.jp/www/contents/1450678813250/index.html
※2
地区保健福祉センターといわき障がい者相談支援センターのデータによると、いわき市の医療的ケアを必要とする方などの「ハイリスク障がい児者」の数は483人(2018年6月末現在)。そのうち南部は182人で、平、四倉、小川地区の北部の157人、常磐、内郷の中部の144人と比べ最多数の地域。
● 障がい者が一人になった緊急時、何ができる？
この日、小名浜と勿来・田人の両地区からともに13事業所15人ずつ出席しました。事務局の「いわき障がい者相談支援センター勿来・田人地域」の職員から、「拠点」の概要、市の検討経緯、今後の計画スケジュールなどが報告されました。参加者は4グループに分かれて「緊急時の対応策」を議論。認知症の父と知的障がい者を介護する母が入院する事態になり、「訪問介護」で支援した実例を共有した参加者は「現実的に本人は慣れない施設への入所を拒否する」と意見。緊急時に備えて夜間の一時預かりの体制をつくっている事業所の参加者は「他事業所からの利用者を緊急で受け入れるのは不安」と語り、障がい児者、施設の両者ともに緊急での入所が困難だと共有。個人情報公開の壁も理解しつつ、事前に事業所間で情報共有し協定を結ぶアイデアも出ました。
● 緊急時に備えた人材や体験の場のアイデア
発表の主な意見は「緊急時の人材不足は、元職員に協力を依頼して補う」「緊急時に利用者がすぐ適応するにも、体験の場の準備が必要」「会津若松市の先進例ではコールセンターでの相談対応を専門職有志が行っているが、長く続けるには無償では難しい」など。参加者の事業所、併設するデイケアや作業所を緊急時に開放するといった具体案も出ました。南部地域の合同ネットワーク会議は来年度も引き続き開催していきます。
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「障がい者が一人になった緊急時、近所住民が支援した事例が共有された『第2層協議体』平地区会議」 2019年3月9日投稿：http://ymciwakikai.jp/blog-entry-694.html
「いわき市内の障がい児通所施設の懇談会。児童発達支援センターでいわき初」 2019年2月8日投稿：http://ymciwakikai.jp/blog-entry-674.html
「いわき市地域移行支援研修会」 2018年10月2日投稿：http://ymciwakikai.jp/blog-entry-575.html
＜小名浜地域障がい児者支援事業所ネットワーク会議＞
地域生活支援拠点について議論した7回目：2018年10月3日投稿：http://ymciwakikai.jp/blog-entry-576.html
設立会議：2018年3月6日投稿：http://ymciwakikai.jp/blog-entry-420.html
