↑認知症者への「いい対応」「悪い対応」を寸劇で演じた小名浜高演劇部員
● 実力十分の演劇部 認知症対応の寸劇披露
寸劇を行ったのは、過去に全国大会で最優秀賞を受賞した実績を持ち、昨年は東北大会で優秀賞を受けた演劇部。今夏には、復興応援のために熊本県で、福島の現状を発信するため東京都でそれぞれ公演するなど、市内外で活躍しています。同高の代表生徒が集まった10月の認知症勉強会で出た認知症体験の例を基に、部員が台本を作成。出演者は、東北大会メンバーを含む部員3人。おばあさんが高校生の孫に携帯電話の使い方を何度も聞く場面と、スリッパを持ったおばあさんがバスを待つ高校生に道を尋ねる場面を演じ、それぞれ「いい対応」と「悪い対応」を紹介しました。おばあちゃんに質問されイライラし怒り口調になる孫の臨場感あふれる演技に、観衆は引き込まれます。徘徊(はいかい)するおばあちゃんを見つけたら身元を確認して家族に連絡する「いい対応」の巧みな演技では、生徒たちは感情移入して学んでいました。
● 65歳以上の4人に1人は認知症
寸劇前の講義では、小名浜地域包括支援センターの保健師・片寄美由紀さんと小名浜地区のグループホーム「トモ・ハウス」の介護福祉士・川口幹子さんが講師を務めました。片寄さんは地域包括支援センターの役割を説明した後、「日本の65歳以上の4人に1人は認知症で、今後ますます増えるとみられます」「認知症の理解が虐待(ぎゃくたい)の予防につながります」と認知症を知ってほしい理由を訴えます。老化の物忘れと比較し、認知症の症状の特徴も説明しました。川口さんは「否定しない」「やさしくゆっくりと」「プライドを傷つけない」と認知症者への効果的な3つの対応法を指導。さらに介護職について「お年寄りの夢をかなえる仕事」とその魅力を語ります。夕食を取ったのを繰り返し忘れたり、風呂に入りたがらない認知症者の事例を述べ、「病気なので優しく接して」「短い言葉でゆっくり話して」などの対応を呼び掛けました。
● 受講生徒全員が「認知症サポーター」に認定
寸劇後の〇×クイズでは、小名浜地域包括支援センターの社会福祉士・山崎博久さんが出題し解説。「知らない場所へ行くと道が分からなくなるのは認知症による物忘れ?」(答え×)、「数カ月間に人が変わったように怒りっぽい性格になるのは、認知症による物忘れ?」(答え〇)などの問題を生徒に投げ掛け、生徒は〇か×かを全員挙手で答えて盛り上がりました。受講生徒は、地域の認知症者や家族を手助けする「認知症サポーター」に認定され、オレンジリングを受けました(※)。主催は小名浜地域包括支援センターで、「認知症でも住み慣れた地域で暮らし続けられるいわき」の実現のため若者にも認知症の理解を深めてもらおうと、全校生徒を対象に初めて企画されました。
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認知症サポーターとは:http://www.caravanmate.com/aboutus/
↑演劇部による寸劇の動画。前半が「悪い対応」、後半が「いい対応」です。