内郷・好間・三和地区の中地域ケア会議(※1)がこのほど、いわき市総合保健福祉センターで開かれました。来年度の事業に向けて、委員は「食」「認知症」「移動手段」に関する意見を出しました。介護者がストレスを抱えている声が共有され、三和と田人の両地区に電気自動車が貸与される市の取り組みにも注目が集まりました。

※1　中地域ケア会議とは
医療・介護・予防・住まい・生活支援の発展へ住民が支え合う地域づくりをめざそうと、国は2015年4月、市町村の努力義務として「地域ケア会議」の設置を法制化しました。これを受けていわき市は同年、「個別ケア」、「小地域ケア」、「中地域ケア」、全市レベルの「市地域包括ケア推進」の計4層の会議でつくる「いわき市地域ケア会議」を設置(★)。「中地域ケア会議」は全市レベルと学校区・行政区レベルの間の中間層に位置し、地区保健福祉センターが主催。市内には7地区ごとに設置されています。

★いわき市ホームページより

●　生活困り事アンケート　結果報告
本年度の内郷・好間・三和地区中地域ケア会議の委員は20人(※2)で、本年度3回目の会議は3月15日に開かれました。事務局は1月に開催した「主任介護支援専門員スキルアップ講座」で、参加者が終活について理解を深めたと報告(※3)。本年度始まった「認知症地域相談窓口」(※4)で、職員が対応法を学ぶ研修会が今月開かれると伝えられました。日常生活の困り事を把握するために行った内郷・好間地区のアンケート調査結果も報告。お年寄り35人が回答し、外出手段では運転ができなくなる不安の声が多く、終末期に備える割合が低い傾向が分かりました。この結果を踏まえ、委員からは「食」「移動手段」「認知症」をテーマにした取り組みも要望する意見が出ました。

※2

※3
「主任介護支援専門員のスキルアップ講座」　2019年1月30日投稿：http://ymciwakikai.jp/blog-entry-666.html

※4
「地域相談窓口が認知症疑いのお年寄りを早期発見した事例」　2018年7月6日投稿：http://ymciwakikai.jp/blog-entry-511.html

「地域相談窓口の開設記念講演会」　2018年7月24日投稿：http://ymciwakikai.jp/blog-entry-524.html

「ヤクルトレディも認知症相談窓口の啓発に協力」　2018年9月28日投稿：http://ymciwakikai.jp/blog-entry-573.html

●　来年度目標「住み慣れた地域で最後まで自分らしく過ごす」
来年度の事業方針は、目標を「住み慣れた地域で最後まで自分らしく過ごす」と設定。「認知症」「地域」「健康づくり」の3分野ごとに取り組みます。「認知症」分野では、「地域相談窓口」「認知症ケアパス」の周知、住民向けの「終活講座」、「地域相談窓口」の担当職員研修、支援者対象の成年後見に関する研修を実施。「地域」分野は、内郷・好間地区は今回の困り事の調査結果を踏まえて新たな支援を検討し、三和地区は介護予防事業を住民に周知します。「健康づくり」分野は、住民向けに「介護塾」を開きます。

●　介護者の心のケア、大切
介護塾のメニュー案について、委員が川前地区でのオーラルケア講座(※5)が好評だったと共有。「食」をテーマにするなら管理栄養士や食生活改善推進員に協力してもらうといい、というアイデアも。内郷地区のオレンジカフェ以和貴に関わる委員は、カフェ参加者から「主治医が忙しくて時間が取れないので、認知症について話せず心配事がたまっている」という声を聞くといい、介護者の心のケアの必要性を訴えました。休めない介護者は認知症講演会に参加が難しいので出向いてくれる介護塾があったらいい、という案も。「移動手段」の話題では、お年寄りの「足」の支援で電気自動車を貸与する市の取り組みが中山間地の三和、田人地区で始まるに当たり、委員は「この実績を見て将来的に内郷・好間地区でも実施検討したい」との声。「移動手段」は街中でもいずれ大きな課題になると共有しました。

※5
「川前地区での口腔ケア講座」　2018年12月13日投稿：http://ymciwakikai.jp/blog-entry-631.html

【関連記事】
「2019年度1回目の内郷・好間・三和地区中地域ケア会議」　2018年6月26日投稿：http://ymciwakikai.jp/blog-entry-503.html

本年度の市地域包括ケア会議関連記事：http://ymciwakikai.jp/blog-category-39.html