いわき市平地区の医療・福祉関係者らが交流する「平在宅療養多職種連携の会」がこのほど、いわき平競輪サイクルシアターで開かれました。医師、歯科医師、薬剤師、介護支援専門員(ケアマネジャー)、リハビリ専門職ら26人が参加。アイル薬局平店の梅津健一薬局長が「平成30年度おためし訪問・同行訪問事業の実施結果について」、平地域包括支援センターの保健師・鈴木絢菜さんが「薬局を対象とした地域包括ケア推進に関する調査」と題し、それぞれ講話しました。
● 「門前」から「地域」 「モノ」から「ヒト」
梅津薬局長は薬局のビジョンを「門前」から「地域」、「モノ」から「ヒト」というキーワードで紹介。患者様を待って薬を手渡すだけではなく、外出困難の患者様宅へ訪問して薬が病状や生活の質に影響がないかを診る役割の大切さを説明しました。寝たきりで自宅療養する70代男性の訪問事例を挙げ、服薬管理や残薬調整などができた支援や難聴の男性とのコミュニケーション面での課題を共有しました。
● 「おためし訪問事業」の成果を共有
梅津薬局長は福島県薬剤師会が取り組んでいる「おためし訪問事業」(※1)も説明。訪問看護師やケアマネジャーらが薬管理に不安を感じる患者を見つけた時に薬剤師が同行訪問する取り組みで、2018年度の実施結果(※2)を報告しました。ケアマネジャーからの依頼、「薬の管理ができない」「飲み忘れ」「残薬が多い」という悩みがそれぞれ多く、依頼した他職種の9割近くが「有用だった」と回答。参加者から「良い取り組みなので続けてほしい」という要望も出ました。
※1
「薬剤師のおためし訪問事業(一般社団法人福島県薬剤師会HP)」:https://www.fukuyaku.org/promotion/monitor-1
※2
「平成30年度の薬剤師のおためし訪問・同行訪問事業・実施結果(県薬剤師会)」:https://www.fukuyaku.org/wp-content/uploads/2019/12/H30_otamesi_houkokusho.pdf
● 平地区の調剤薬局へのアンケート結果
鈴木さんは、平地域包括支援センターの保健師が平地区内の調剤薬局57店舗を対象に、多職種との連携や相談窓口機能をアンケート調査した結果を共有。チェーン店と個人店ともに約3割が利用者から介護相談を受けているのが明らかになり、内容の多くは「認知症」「介護用品」「介護施設」。他の職種との連携では、約7割の店が連携不足を挙げ、連携を図りたい職種では「主治医」「地域包括支援センター」「ケアマネジャー」が上位を占めたと報告されました。鈴木さんは「薬剤師から医療や薬の視点でアドバイスをもらえるような連携体制を構築したい」と話しました。今回の「平在宅療養多職種連携の会」は今月16日に開催されました。
【平在宅療養多職種連携の会の記事】