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投稿:2018年05月22日更新:2022年12月26日

いわきの医療 多職種連携・地域連携

317. 安全ないわきの海をつくる!・サーファー対象の救助技術講習会

救命技術を身に着けたサーファーを増やすための講習会がこのほど、いわき市の四倉海岸で開かれました。いわきの海の安全を守ろうと地元のサーファーら90人が受講し、心肺蘇生法やサーフボードを使った救助法の講義、救助ヘリコプターのつり上げ訓練の見学を通して理解を深めました。主催する常磐病院の救命救急インストラクターや市消防本部、海上保安庁の職員、当法人の山内クリニックの岩井淳一医師もサポーターとなって指導しました。

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↑参加者に心肺蘇生法を指導する岩井医師(中央左)

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● サーファーに救助技術指導し、救命率向上へ
潮の流れを熟知して一年中海に通う地元サーファーが救助技術を身に着けたら、通年海の安全を見守れて救命率が上がる。そう考えた常磐病院の看護師・大垣竜一郎さんが企画して実現。「行政などと連携した大規模なサーファー向け講習会は全国初だろう」と語る大垣さん自身もサーファーで、一次救命処置インストラクターの資格も持ちます。サポーターで参加した岩井医師もサーファーで、東日本大震災時に災害派遣医療チーム(DMAT)で救急救命に携わった経験もあり、救命技術を受講生に伝えました。

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↑講習会を企画し、人工呼吸のアドバイスをする大垣さん

● 心肺蘇生法やAEDを体験
5月13日に開かれた講習会では、市消防本部の救急隊員による心肺蘇生法の講話後、受講者が人形を使って実技に挑戦。両乳頭の間の胸骨部に手の付け根を当て、体の体重を乗せて垂直に押します。受講者は1分間に100回のリズムを刻むメトロノームの音に合わせて押しますが「しんどい」と汗。岩井医師は「押すだけじゃなくてしっかりと戻す」と指導し、市消防本部の職員は「腕ではなく体で押して」とアドバイスしました。AED(自動体外式除細動器)の使い方も確認。意識確認、周囲への119番通報の呼び掛けから始まる一連の心肺蘇生法を一人一人が体験しました。

※ 救急蘇生法の手順(日本医師会ホームページ):http://www.med.or.jp/99/cpr.html

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● 救助に向かって自身が命を落とさないように
サーフボードを使った救命講習では、大垣さんが講話。救助に行って命を落とす2次災害の防止を一番に訴え「危険だと判断したら沖に行かず応援を呼ぶ」と注意をうながします。周りに救助要請をして沖に出る安全が確認できたら、浮き輪など浮力のある物を携帯して救助に向かいます。沖ではパニック状態の要救助者にしがみつかれ、ともにおぼれる危険性を警告。「浮き輪やサーフボードでまずは浮かせて落ち着かせることが大事」とアドバイスします。さらに岸に戻るのに5分以上掛かると判断した場合、一度、人工呼吸することが望ましいが高度な技術を要するのでまず自身の安全確保が大切と説明。要救助者を連れて戻れないと判断した場合は、救助機関の到着まで浮いて待って体力を温存してほしいと呼び掛けました。2次災害を起こさないよう、受講者はその場面ごとでの判断を確認しました。

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↑レスキューボードの講座

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↑救助ヘリの訓練

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● 救助ヘリの訓練も見学
10人分の浮力を持つ全長3メートルほどのレスキューボードの使い方を指導したのは、日本ライフセービング協会のメンバー。受講生は海水浴期間中に沖に備えられるそのボードを使った救助法を学びました。その後、仙台市の基地から30分で海上保安庁の救助ヘリが登場。沖にいる要救助者役の海上保安庁の救助隊員を迅速につり上げる訓練を見学した受講者は、沖で待てば救助が来てくれるのを目で確認し、ホバリングによる波風を体感しました。計3時間の講習会後、修了証を受け取った受講者はレスキューサーファーとしての自覚を得ていました。

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