新型コロナウイルス感染拡大の予防のため、いわき市内でシルバーリハビリ体操を行う「つどいの場」のうち約8割が休止していることが分かりました。運動や社会的交流ができる機会が減るとお年寄りの引きこもりや、さらに深刻化すれば“要介護予備軍”「フレイル」(※1)につながる恐れも。当法人医和生会(いわきかい)通所リハビリテーションでは感染予防を理由に休むご利用者様もいらっしゃり、運動不足にならないよう注意を呼び掛けています。当法人山内クリニックの山内俊明院長は、自宅での運動と家族とのコミュニケーションを心掛けるよう勧めています。
※1. フレイルとは
健康な状態と介護が必要な状態の中間を意味し、多くの人はフレイルを経て要介護状態に進行すると考えられています。
詳しくは「公益財団法人長寿科学振興財団『健康長寿ネット』ホームページ」:https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/frailty/about.html
● 228カ所が休止
「つどいの場」とは、地域の高齢者らが集まって体操や交流を行う場で、住民が主体的に開いています。いわき市内には2019(令和元)年12月現在、「つどいの場」が443カ所あり、参加実人数は9370人。シルバーリハビリ体操の講師を「つどいの場」に派遣する市地域包括ケア推進課によると、指導士の派遣を予定していた「つどいの場」295カ所のうち、3月30日時点で228カ所が休止を申し出ています。さらに昨年末に始まった、台風19号の被災者向けのつどいの場「みんなでいくべ家(や)」は3月2日で中止になりました。開催を続ける「つどいの場」には、同課は予防対策の徹底に加えて、感染の疑いのある参加者が現れたらすぐに休止を要請する方針です。同課では現在、自宅でできる介護予防対策として、動画共有サイト「ユーチューブ」でシルバーリハビリ体操の動画を配信(※2)しSNSで広めています。
※2. 市地域包括ケア推進課が管理し、シルバーリハビリ体操の動画を配信しているユーチューブチャンネル「いごくTV」:https://www.youtube.com/channel/UCTFqwsvQxQDEmEfJRtORSTA
● 通所リハビリ事業所 休むご利用者様も
当法人の通所リハビリテーションでは持病のあるご利用者様が感染を警戒して休むようになり、3月末現在で平常時と比べて1割減。継続が大切なリハビリを中断することでの運動機能の低下が懸念され、介護支援専門員(ケアマネジャー)と連携して欠席者の健康の把握に努めるとともに、定期的に体を動かすよう呼び掛ける文書の郵送を準備しています。
● 運動やコミュニケーションに心掛けて
自宅でできる介護予防について、山内院長は転倒に注意しながらの定期的な自主運動や自宅周りの散歩を勧めます。さらに社会交流がなくなることでの孤立や認知機能の低下を防ぐためにも、コミュニケーションを取るのが欠かせないと指摘。孫と一緒に遊んだり、一人暮らしなら電話やオンライン通話で家族や友人と頻繁に会話するのも効果的です。社会全体で介護予防の意識を持ち続けるためにも、山内院長は「家族で注意し合ったり、テレビで介護予防をPRしてもらえたら効果的だろう」と話しています。
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