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投稿:2018年12月20日更新:2021年05月15日

居宅介護支援事業所 いわきの介護

472.  介護、きらめく瞬間④・初めての新規利用者

出勤した朝、スマートフォンが鳴った。

「お袋が死んだ」

電話口からの声は泣いていた。デイサービスで人気者だったSさんのいつもの笑顔が浮かんだ。最後に会ったのは山内クリニックの点滴室で、明るく振る舞っていたのに。Sさんの長男の涙声を聞きながら、だんだんと目頭が熱くなっていた。

ケアマネジャーになったばかりの5年半前―。初めての新規利用者が決まり、退院の打ち合わせで先輩と病院に向かった。

「うまく話せるだろうか…」

ドキドキして病室のドアを開けると、ベッドで体を起こすSさんといすに座った長男がいた。詩歌の好きなSさんは自作の歌を楽しげに朗読し、一気に緊張がほぐれた。退院後の希望する生活を聞き取って支援計画のイメージを伝えた。すると長男は「信用しています」と目を見つめて言ってくれた。

「よし、頑張ろう」

自信がわいた。

デイサービスに行くといつも仲間に囲まれるSさんがいた。楽しそうに詩歌を披露している。「自分の支援計画が少しは幸せにつながっているのかな」。Sさんの笑顔は励みになった。

Sさんの死から数日後。お悔やみを伝えに葬儀場を訪問した。

「ありがとうございました」

ひつぎの中で眠るSさんに向けて頭を下げた。目を閉じたその表情はいつもの笑顔に見えた気がした。

家族にSさんの写真を手渡し、デイサービスでの思い出を語った。離れて住む家族は家では見せない一面を知って喜び、長男は最初の病室での出会いを鮮明に覚えていてくれた。

「ありがとうございました」

ご家族から笑顔で感謝されて玄関を出た。肌寒い初冬の夕方なのに、なんだか少し暖かかった。

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↑Sさんが書いた詩歌

<お悔やみ>
S様には長らく当法人のサービスをご利用していただき、いつも職員に温かく接していただきました。感謝とともにご冥福をお祈り申し上げます。

【介護、きらめく瞬間】
1話 「またね」 2017年12月9日投稿:http://ymciwakikai.jp/blog-entry-356.html

2話 「『愛』の作品」 2017年12月20日投稿:http://ymciwakikai.jp/blog-entry-366.html

3話 「認知症サポーターの矜持」 2018年4月21日投稿:http://ymciwakikai.jp/blog-entry-456.html