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投稿:2018年12月08日更新:2020年04月08日

463. 自治会・町内会 「維持するのが大事」・地域自治フォーラム

「地域自治フォーラム」がこのほど、いわき市総合保健福祉センターで開かれ、首都大学東京人文社会学部の玉野和志教授が自治会・町内会の歴史と今後の課題について講演しました。玉野教授は、有事の際に住民が結束できるよう「日ごろは楽しく親睦を中心に活動して、負担になる嫌な事は避けて」「細々でも維持するのが大事」と訴えました。パネルディスカッションでは錦町中田区と鹿島町御代区の各区長がそれぞれの現状や取り組みを紹介しました。

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↑「町内会・自治会のこれまでとこれから」と題して講演した首都大学東京の玉野教授

● 細くても続けていくのが大事
フォーラムはいわき市が11月18日に主催しました。ローカル・コミュニティを研究している玉野教授は「町内会・自治会のこれまでとこれから」と題して講演。加入率の低下や担い手不足が全国的な課題となっている一方で、特に震災後行政からの期待が大きくなっている近年の動向を語りました。脱会者への嫌がらせや役員の会費の使い込みなどの問題を懸念し、玉野教授は「(町内会・自治会は任意団体で)無理をすべきではない」と強調。行政がすべき仕事を頼まれても、負担なら断って細くても継続していくことが大事だと訴えました。

● 町内会の特徴は?
一般的な任意団体とは特色の異なる町内会の解説も。5つの特長として①個人単位ではなく「世帯加入」②全戸加入の原則③道の整備や催し企画といった「包括的機能」④ほかのエリアと重ならない「地域占拠制」⑤密接に関わる「行政下請」が挙げられました。町内会の歴史は長く、近代以前は地主を中心に組織されていました。その後大正から昭和初期にかけて引っ越しが盛んになり、住民把握の必要性から現在の町内会の形に。転入者がいれば親睦会、火災が増えれば火の用心活動など、地域の共同防衛の役割を自発的に担ってきました。

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● 災害など有事の際に結束できるように
玉野教授は「人がやりたがらないことをやるから楽しくないのは当然。だからできなくても『奉仕心が無い』と責めないで」と励まします。それでも有事の際には町内会が必要とも。共同防衛組織がなければ、迷惑団体が地区に転入する際は一から住民組織を立ち上げる必要があり、災害時には住民同士の助け合いが求められます。普段は楽しく親睦を深め、有事の際に結束できればいいとアドバイスしました。町内会を盛り上げる工夫では、町内会行事でのけがに備えた保険制度や商店街で利用できる割引カードをつくって住民を把握する取り組み、やる気のある元会長で活動するOB会の案も紹介されました。

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↑取り組みを発表した錦町中田区の大山区長

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↑取り組みを発表した鹿島町御代区の高山区長

● 2自治会の事例発表も
パネルディスカッションでは錦町中田区の大山登区長と鹿島町御代区の高山義弘区長が、各々の地区の取り組みを報告。神社の古文書を基に本を発行した中田区の活動について、玉野教授は「地域を守ってきた先達の取り組みを知ることで、歴史や文化に興味を持つのはよくある」と地元史を住民に伝える有効性を指摘。雇用年齢が70歳になると主力の60代が地域活動に参加できなくなるという懸念の声に、玉野教授は「これからは高齢、障がい、性別を考慮せず、ちょっとずつ負担し合って活動を維持する時代になる。『誰だって働いている』という考え方を持たなければならない」と回答。住民同士の交流について、玉野教授は「住民と親睦したくない人もいる。町内会全体で大騒ぎしなくても、本当の隣近所と食事するぐらいなら抵抗もないかと思う。そういった食事会を補助し、最低限の親睦をつくるのもいいだろう」と提案しました。

【地域自治フォーラム記事】
「地域コミュニティづくりを考えた1回目」 2018年9月18日投稿:http://ymciwakikai.jp/blog-entry-561.html