狭心症、心筋梗塞、心房細動、人工弁置換術後、肺動脈血栓塞栓症、閉塞性動脈硬化症と脳梗塞、一過性脳虚血発作など動脈硬化に加えて血液が血管などの中でかたまって血液を流れにくくしてしまうために起こる病気が沢山あります。
これらの治療には、抗凝固療法、抗血小板療法と言われる「血液さらさらの薬」を使うことがよくあります。
これらの効果で血液が固まりにくくなると、出血した場合に血が止まりにくくなります。
そこで問題になるのが、抜歯や手術、組織検査、怪我などに伴う出血です。そして、見えないところでの出血(胃や腸など身体の内部)が続いた場合は、出血多量によるショックなども心配されます。また薬の効き過ぎを知らずに放置しておくと脳出血を起こすこともあります。しかし、これらの薬は勝手に中断すると非常に危険です。
出血が恐いからといって勝手に服用を中断したりしてしまうと、今度は逆に血液のかたまりが血流を遍断して脳梗塞や心筋梗塞など救急治療が必要な重篤な病気になってしまうことがあります。そして命が助かったとしても、更に後遺症の問題も出てきますから、安易な気持ちで勝手に主治医に相談もせずに薬を止めるようなことは絶対にしないで下さい。
手術や抜歯、組織検査などのために医者から「血液さらさらの薬」を一時中断するように言われても、必ず「血液さらさらの薬」を処方してくれている心臓・血管系の主治医に相設して下さい。服用している薬の種類と病気によって中断した場合の危険性や中断の仕方、中断する時期、期間などが違います。
専門的な判断が必要なことが多いので、処方してくれている循環器系の専門医に必ず相談して下さい。絶対に相談してください。勝手な中断は危険です。お大事に!
山内 俊明
※この記事は、朝日サリー(2009年5月号)「ハートでクリニック」に掲載されました