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投稿:2009年07月15日更新:2020年04月06日

山内クリニック スタッフの声【COLUMN】 コラム - 山内俊明

【コラム.04】高血圧治療ガイドライン2009について①(医師・山内俊明)

新しい高血圧の治療方針が示されました。今回は第1回目として家庭血圧と高血圧の診断、治療の関係についてお話しましょう。

このガイドラインでは、家庭血圧の測定が重視されており医療機関を受診しなくても高血圧の診断が可能となっています。測定方法は上腕での測定を基準としています。

朝(起床1時間以内、朝食前)、晩(就寝前)、それぞれの第1回目の測定値(数回測定してもその1回目)を1週間くらい記録して平均値をもって判定します。または測定した結果をすべて記録して全部の平均値でも良いとされています。その値が135/85(単位mmHg以下同じで)をどちらかでも超えていれば高血圧と診断されます。正常値は125以下/80以下です。この間(125~134/80~84)に入っている方も要注意となります。これに血圧以外の心臓血管系に影響する危険因子をどのくらいもっているかを加えて治療方針が決められます。

①たばこ ②肥満(BMI25以上) ③高齢(65歳以上) ④脂質異常症 ⑤親兄第等近い血緑関係に50歳以下で心血管病を発症した方がいること ⑥慢性腎臓病 ⑦糖尿病 ⑧心血管疾患に既に罹ったことがある方 ⑨脳血管疾患に既に罹ったことがある方で何個当てはまるかを数えます。

今回は、降圧剤を服薬する治療を直ちに開始しなければいけない方の条件を教えましょう。

Ⅰ:⑥~⑨が1個以上あり、家庭血圧で125/80を片方または両方超している

Ⅱ:①~⑤の3個以上に該当して家庭血圧で125/80を片方または両方超している

Ⅲ:①~⑤が1個か2個該当して家庭血圧が155~174/95~104

Ⅳ:①~⑨には該当しないが、家庭血圧で175/105を片方または両方超している

上記の方は直ちに降圧剤治療を開始しなければいけないことになっています。直ぐ医療機関を受診して治療を開始して下さい。簡単な例を言いますと、66歳の男性で身長が165cm、体重が70kg(BMI25.4)、喫煙1日20本、弟が48歳で狭心症になりステント治療を受けた、血液検査で中性脂肪が200で、コレステロールが240あった、となると①~⑤が全部です。3個以上で家庭血圧が少しでも高ければ直ちに薬を使った治療が必要です。

しかし、他の病気がある方、特に治療中の方は、主治医の指示に従ってください。家庭血圧を測定して脳、心臓、腎臓、血管を守りましょう。

介護不要で自立した生活を楽しむことができる健康寿命を伸ばしましょう。

山内 俊明

※この記事は、朝日サリー(2009年7月号)「ハートでクリニック」に掲載されました