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コラム

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投稿:2009年01月15日更新:2020年04月06日

山内クリニック スタッフの声【COLUMN】 コラム - 山内俊明

【コラム.02】心臓が大きいといわれた(医師・山内俊明)

心肥大についてのお話です。心臓が大きくなるといっても心臓は肉の塊ではありません。部屋が4つ(右心房・左心房・右心室・左心室)あり、心肥大としては右心室、左心室の肥大を言います。

ところで肥大とは?

これを理解するのには心臓の発育成長を考えなければなりません。新生児の心臓と成人の心臓では10倍以上の容積の差があります。心臓を構成する心筋細胞は生まれてからの細胞の数は増えず、成長にあわせて一つひとつの心筋細胞が容積を増していきます。これを生理的肥大と言います。これに対して、心肥大(病的肥大)は種々の過剰な負荷が加わり、生理的肥大を超えて心筋細胞が容積を増した場合を言います。

心臓に対する過剰な負荷として、最も一般的なものは高血圧です。他に、弁膜症、先天性心疾患、心筋症などがあげられます。高血圧症では左心室が高い圧力を持続的に出し続けなければならず、この過剰な圧負荷が心筋細胞を病的肥大へ陥れていきます。初期の段階では肥大が起こっても新機能は悪くなりませんが病的肥大が進行すると心臓の血液を循環させる力(収縮能・拡張能)が低下して心不全を起こします。また、この左室肥大は虚血性心疾患、不整脈、突然死などを引き起こす危険因子であることもわかっています。高血圧症には自覚症状がないことが多く、血圧を測らなくては気がつきません。左室肥大があっても心電図やレントゲン検査を受けなければわかりません。

職場健診や市の健診などを必ず受けていつの間にか密かに進行する心肥大を早く発見し、高血圧など心肥大の原因になる疾患をきちんと治療することによって新たな病気を予防しましょう。お大事に!

山内 俊明

※この記事は、朝日サリー(2009年1月号)「ハートでクリニック」に掲載されました