今回は薬の使い方についてのお話です。生活習慣の改善で降圧目標にとどかない場合、特にIIからIII度の高血圧(160/100以上)で危険因子の多い患者さんでは降圧目標を達成するには生活習慣の改善のみでは不十分であり、降圧薬による治療が必要となります。
一般的に使用される薬としては、カルシウム拮抗薬、ARB、ACE阻害薬、ARB、ACE阻害薬、利尿薬、ベータ遮断薬の5種類です。これらの薬を患者さんの病態や合併症の有無によって適切に使い分けていくことが必要です。血圧は24時間にわたって確実に降圧することが大切であり、服用の回数も1日1回が基本ですが2回にすることもあります。また、降圧目標を達せするためには多くの場合、1剤だけでは困難であり2~3剤を併用することが必要になります。その様な場合は、少量の利尿薬を積極的に併用することが勧められています。降圧していく速さ(降圧速度)は目標を数ヶ月かけて達成するくらいの緩徐な方が良いとされ、特に高齢者には急激な降圧は避けるべきとされています。しかし、心血管病発症リスクが高い患者においては数週間以内に降圧目標に達することが望ましいといわれています。
服薬治療に当たっては、まず、第一にきちんと降圧目標を達成してその状態を確実に維持していくことが必要です。適正な生活習慣を守ることと決められた服薬方法を勝手にかえたり服薬を中断しないで、高血圧治療の最終目標である心血管病発症の予防をしていきましょう。お大事に!
山内 俊明
※この記事は、朝日サリー(2010年1月号)「ハートでクリニック」に掲載されました