前回は人生の希望を再燃させてくれる長寿遺伝子(サーチュイン)について話しました。今回も循環器科から少し離れて、しかも、おもむきを変えて医者の根本的な役割の1つである死亡診断書のお話しです。
日本人が死亡すると法律によって医師又は歯科医師の診断による死亡診断書が必要になります。そして、長寿遺伝子がどんなに活発に働き続けたとしても人間が永遠に生きつづけることはありません。その死亡診断書を記入していくときに、悩むことが多いのが死因です。診断書には死因の種類として、12項目に分けられます。1病死及び自然死、外因死ー不慮の外因死(2から8)、その他及び不詳の外因死(9から11)、更に12不詳の死、となります。一般的な開業医(内科等)が扱う死亡診断書の死因は殆どが1病死及び自然死の項目が該当します。開業医でも入院施設がなく在宅看取りをしない場合には死亡診断書を書くことは少ないと思います。私は在宅看取りでの死亡診断書が主になります。そのような患者さんは、高齢や回復の望めない病気から、気力や体力が次第に低下していき、人生の最後を自宅で迎えたいといった方々です。
入院での延命治療、人工呼吸や点滴などの束縛から解放され、自由な自宅での閑かな死を迎えられます。医師の判断にもよりますが診断書には自然死(老衰)が多くなることになります。人生の最期、皆さんはどのように考えられますか?お大事に!
山内 俊明
※この記事は、朝日サリー(2012年4月号)「ハートでクリニック」に掲載されました