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投稿:2020年08月03日更新:2021年05月11日

多職種連携・地域連携

836. 居住人口を増やして活気ある街に!・いわき駅並木通り地区の再開発計画

いわき市平のいわき駅並木通り地区で再開発の計画が進んでいます(※)。街にかつてのにぎわいを取り戻そうと住民有志が立ち上がってから7年。多世代が「暮らす」「集う」「楽しむ」市街地づくりのコンセプトを掲げ、緑に囲まれたマンションと商業・業務ビルを整備します。徒歩圏内には多くの商業・文化施設、駅・バスターミナルもあり、車のないお年寄りでも安心して生活できる「コンパクトシティ」を目指します。いわき駅並木通り地区市街地再開発組合の野沢達也理事長は「人口の減少を食い止めて、活気ある街に戻したい」と意気込みます。

 

※「いわき駅並木通り地区第一種市街地再開発事業の計画(いわき市ホームページ)」:http://www.city.iwaki.lg.jp/www/contents/1589690062284/index.html

 

● 22年度に完成予定

再開発計画のきっかけは東日本大震災でした。人口が減って景気が冷え込む中心市街地に危機感を抱いた地権者有志が2013(平成二十五)年12月、街の活性化を考える勉強会をスタート。「復興予算」を想定した再開発計画を練り、14年度に市に働き掛けたものの却下されてしまいます。それでも翌年度から市とともに協議を継続。中心市街地活性化法に基づいて計画を策定して16年度末に内閣府の認定を受けました。その後準備期間を経て19年7月、地権者らでつくる「いわき駅並木通り地区市街地再開発組合」を設立。来年に着工予定で22年度に完成する計画です。

 

いわき駅並木通り地区の再開発の完成予想図

 

再開発されるいわき駅並木通り地区。国道399号(左)に面し、北側にはJR常磐線(右)=2020年7月29日

 

● 「多世代の居住・賑わい創出」

再開発の場所はいわき駅南西部の国道399号沿い。2つに分けられた街区の面積は1.2ヘクタールです。計画の基本コンセプトは「まちなかでの多世代の居住・中心市街地における賑わい創出」。郊外に対抗して地区外から多くの人を呼び込む商業化ではなく、居住人口を増やして住民が歩いて買い物や余暇を楽しめる「コンパクトシティ」化の青写真を描きます。緑あふれる並木通りにし、東の街区1は5階建て商業・業務ビルとプロムナード(遊歩道)、西の街区2には一般とシニア向けの21階建てマンション(約220戸)と5階建て駐車場棟(約320台分)がそれぞれ整備される予定です。

 

● 生活圏が歩ける範囲に

車社会の地方では高齢者も生活のためには運転免許を手放せない社会問題がありますが、ここいわき駅前周辺は生活圏が歩ける範囲なのでお年寄りでも安心して暮らせます。シニア向けマンションは車いすでも生活でき、入居者が動けなくなる異変を感知すれば警報が鳴る安全システムも導入。近くには生活に必要な施設もそろい、行政窓口や図書館もある商業ビル「ラトブ」、映画館、スーパーマーケットなども徒歩圏内です。郊外に出たい場合は駅やバスターミナルが目と鼻の先で、交通の利便性は十分。イベントも開けるというプロムナードでは住民同士の交流も期待できます。緑の並木を歩き、カフェで息抜きも。子どもからお年寄りまでが街で「暮らす」「集う」「楽しむ」ことができます。

 

再開発の思いを語る「いわき駅並木通り地区市街地再開発組合」の野沢理事長(写真撮影のためマスクを外しています)

 

● 「人が住める街をつくって立て直したい」

特にシニアの健康を守るため、商業ビルには医療・リハビリ施設を備えた「医療モール」の整備も検討していますが、現段階では開業医が見つからず難航。代替案で周辺の医療機関との連携も視野に入れています。「孫の代まで自分たちが生まれ育った街を衰退させたくない」という野沢理事長は「店ありきではなく、人が住める街をつくって立て直したい」と力を込めています。

 

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