大震災からの復旧・復興はまだ道半ばと思います。大変な思いをされている方々には心よりお見舞いを申し上げます。
ふと気がつきました。復旧・復興の進み具合は病気の治癒過程とよく似ています。病気(感染症など)はバイ菌でおこります。バイ菌を地震・津波に置きかえてみましょう。
病気の場合、バイ菌が組織を壊し傷ができます。バイ菌を攻撃し傷を修復するのは白血球です。傷に白血球がたくさん集まるために血管が拡張し、腫れて痛みがでます。膿(痰)も溜まります。体温も上昇し熱も出ます。痰を出すために咳もします。栄養を運ぶためにも血管はさらに拡張します。それぞれが進まないと傷は治りません。
震災で町が破壊されます。直すのは人間と機械です。外部からボランティア、工事関係者など大勢が集まると、人ごみが出来、騒音が聞こえ、道路は渋滞し、ごみも多くなります。たくさんのごみやがれきを運びだし、大切な建築資材を搬入するのはトラックです。
復旧・復興にはたくさんの人や機械が、病気の治癒にはたくさんの白血球が、必要です。その役割を十分に発揮してもらうために、住民や患者は少し我慢しなければなりません。我慢がないと復旧・復興・治癒が順調に進みません。何にでも不満や具合の悪さを訴えて、すぐ薬を飲んだりするのではなく、その本質をみて、正しく判断しましょう。
山内 俊明
※この記事は、朝日サリー(2013年11月号)「ハートでクリニック」に掲載されました