秋風が吹いて気持ちの良い季節になりました。もう夏バテは大丈夫と考えている方が多いと思いますが油断大敵です。夏バテはむしろ秋に起こり易いのです。夏の暑い盛りには気が張っていて、何とか頑張って過ごしますが、涼しくなってホッとひと息ついたときに一度に疲れがでてしまうのです。また、頭の位置や向きを変えたとき、一過性に回転性のめまいを生じる「良性発作性頭位めまい性」という病気があります。これはめまいの中でもっとも頻度が多いと言われ、統計的にきちんと検討したわけではありませんが、私の外来の経験から秋に多いと感じます。めまい発作の誘因に、過労や睡眠不足などがあると言われますので、季節変化の影響もあるでしょう。
日本人の食生活を考えますと、夏の暑さで食欲低下し夏痩せとなり、食欲の秋、スポーツの秋で体力を回復し冬を乗りきるというパターンだったと思います。しかし、最近は、何時でも何でも食べ物はあります。旬の時期しか手に入らないものは非常に少なくなりました。夏はエアコンのきいた室内で快適に過ごし、食べたいものを美味しくしっかりと食べます。体重は減りません。そして、秋を迎えます。冬も保存食だけではなく、沢山の美味しいものがあります。自分できちんとコントロールしないとこのままでは肥満症になり生活習慣病へと進みます。季節を考えた和食で健康を維持しましょう。お大事に!
山内 俊明
※この記事は、朝日サリー(2014年11月号)「ハートでクリニック」に掲載されました