こんにちは。この原稿を書いている今、夏休みが終わり子供の学校が始まって心からホッとしている山内クリニック家庭医、岩井です。
さて、山内クリニックでは何らかの理由で通院が困難な方に対して、医師が自宅へ定期的に診察に伺う訪問診療を行っています。その最初の診察時には必ず患者さんや家族、可能であれば介護に携わる方々とみんなで面談を行っているのですが、その際に必ずお渡ししているのが「わたしの想いをつなぐノート」です。宮崎市のエンディングノートを基に作成された終末期における治療方針についてのノートで、治る見込みがない病気の進行で呼吸や心臓が止まってしまった時、口から食事が取れなくなった時にどうしたいか等を書き込むことができます。
皆さんは自分の最期をどう迎えたいか、逆にこんな風な最期は迎えたくないな、などと考えたことはありますか?以前、地域住民との懇談会で最期の治療についての話になったことがあります。皆さん最期は住み慣れた自宅で死ぬのが理想だけど、家族に迷惑をかけたくない、でも病院で管だらけになって死ぬのは嫌だと、ほとんどの方が考えを持っていましたが、実際それについては家族と話し合ったことがないようでした。いざという時にはすでに自分の意思を表せないことがあり得るので、あらかじめ臓器提供カードのようにこのノートに記しておくのも良いかもしれません。
ノートが欲しい方はいわき医師会、いわき市保健福祉窓口、当院はもちろん、かかりつけの先生にぜひ問い合わせてみてください。
岩井 里枝子
※この記事は、朝日サリー(2016年10月号)「ハートでクリニック」に掲載されました